2015年8月30日日曜日

難民問題

世の中、特に外国事情は分からないこと知らないことだらけだが、昨日TBSの「報道特集」の特集「ヨーロッパの難民問題」を観て改めて思った。アフリカ大陸から逃れてイタリアを目指した難民が地中海で悲劇に見舞われるとか、マケドニア国境で国境を突破しようとする難民と警察の衝突なんてニュースは時々あったので、ニュースを観た時だけは大変だなと漠然と思っていただけである。恐らく多くの国民も難民問題と聞いてもピンと来ない筈だ。ベトナム戦争時代にボートピープルが日本に漂流同然で辿り着いた騒ぎがあったが、その後の決着すら思い起こせない。

昨日の放送がルポしたのは、ギリシャ沿岸に対岸のトルコから辿り着いたボートピープルである。ギリシャと言う国についての報道と言えば、専ら国家の財政破綻と政権選挙で、国民生活は塗炭の苦しみの中にあって、金融機関の取り付け騒ぎ一歩手前の状況で、嘗てのように古代文明を楽しむ人で賑わう観光立国とはとてもいかぬだろうと勝手に決めつけていた。ところが、ルポの趣旨が異なるので断定できないが、意外に国民生活に大きな動揺が無いのかもしれない。

兎に角、トルコとギリシャ領の島が最も接近しているところでは、対岸が肉眼で確認できるほど近いらしい。この島に日本人レポータが張り込んでボートピープルを待ち受けた顛末だった。この島は日本の沖縄のような夏のリゾート地らしい雰囲気である。TBSのレポータが欧米の記者たちと共に待ち構えているその島を目指す不審なボートが発見されるところからレポートが始まる。当然だが漂着の大分前から確認できているので、漂着しそうな海岸(と言っても、砂浜ではない崖下)に記者たちは移動して待ち受ける。

トルコの沿岸警備隊は違法な出国を取り締まるためのパトロール(これも映像がある)はしているようだが、どうも多勢に無勢の感があるようで捉まえきれないらしい。辿り着いた難民(昨日の放送では老若男女約50人)は上陸するなり乗船してきたボート(大型ゴムボートに船外機がついている)を切り裂いたり、叩き壊してしまう。送り返せなくするためらしい。そして、難民申請の為に警察に向かうのだが、難民が次から次へと押し寄せるので警察は手が回らず、警察か収容施設か分からないが塀の外で何日も待つことになるらしい。

それでも最終的には難民として受け付けてもらい、フェリーで首都アテネに送られる。ここで一応正式に難民を証明するペーパーだけは貰えたと思う。難民の側もギリシャで生活できないことは承知しているらしい。そこから又徒歩でユーラシア大陸を北上してドイツやスウェーデンを目指すらしい。マケドニア国境の騒動はその途中のことで、違法な越境は何もマケドニアだけに限らない。昨日のルポ対象になっていた人達はアフガニスタンからイラン・トルコを経てギリシャに入国するまでの距離だけで約4千キロと言っていたような気がする。

彼等は当然途中の危険を承知で、それこそ命を懸けて国を捨ててきているのだ。
この人たちは自分の人生をどのように考えているのだろうか?昨日の取材対象は、結果的にドイツに辿り着いて難民として生活の足場を固めることが出来た。ドイツはEU諸国で最も多くの難民を受け入れているらしい。今年すでに2万人を超す難民を受け入れているそうだ。理由は先の大戦時に世界各国に多大な迷惑をかけた歴史観に基づく気持ちがあるかららしい。一方で過激派右翼の激しい移民排斥行動もある。

兎に角「難民」が、欧米では非常に大きな社会問題になっていることだけは分かった。難民の発生源は何もアフガニスタン1国ではない、ISの迫害から逃れる中東諸国にアフリカの国々、中南米にもあるのだろう。島国故、大陸諸国からの難民なんて普段考えても見なかった。国際平和への貢献と言えば金を出すか、自衛隊を出すことくらいしか頭に浮かばない日本人。もっと大きな問題があることを知っただけでも、番組を観た価値があった。

0 件のコメント: