2015年7月2日木曜日

政治家の嘘

昨夜たまたまであったが、21時からNHKBSプレミアムで「アナザーストーリーズ▽暴かれた大統領のスキャンダル クリントンと女たちの思惑」を観た。
クリントン元アメリカ大統領とアルバイト学生モニカ・ルインスキーの間で発生したスキャンダルに関わったジャーナリストたちの当時の考えが語られていた。他にヒラリー・クリントンのことについても少し触れられているのだが、今日のテーマから少し外れるのでこちらは割愛する。

元大統領が就任前、即ちアーカンソー知事の時代から女癖が悪いと言うのか、若い時から女性にもてたとするのが正しいのかは別にして、大統領になっても女性スキャンダルに常に追われていたようだ。当然これに目を付けて、どこかで彼の悪癖を暴いてやろうと狙いを付けていたジャーナリストが存在していたことは不思議でない。昨夜の番組で取り上げられたのは男女2名のハンターだが、相手が大物だけに、アメリカであっても単なるスキャンダルに終わらせないための苦労はそれなりにあることが分かる。

一人はルインスキーの同僚から大統領との関係を聴きだし、その同僚に対してルインスキーとの電話をテープに納めることを薦めて実行させた、敏腕と言うべきだろう出版代理人の女性(ルシアン・ゴールドバーグ)。そしてこのテープをニューズウィーク誌に売り込もうとするが、ニューズウィーク側も大物のスキャンダルだけに、会社の判断では素直に誘いに乗らなかったようだ。勿論社内では喧々諤々の議論がされて賛否は相半ばだったらしい。

そこでこの出版代理人は策を巡らして、当時立ち上がったばかりのネットのニュースレターサイト「ドラッジ・レポート」に情報を少し流す。現代日本に喩えれば2チャンネルのようなものかなぁ。それにニューズウィーク誌側で上手く反応したのがマイケル・イシコフ記者で、彼がもう一人の主役で、世紀のスクープをものにすることに繋がっていく。彼は元々ワシントンポストの記者で、ずっとクリントン氏を臭いと思って追いかけていた。

移籍先のニューズウィーク誌で、このテープを持ち込まれた幸運に恵まれたので、予ての念願が叶うと喜んだのだが、内部の検討会で、検察がスキャンダル絡みで大統領周辺を洗っていたことなどを理由に諦めさせられていたのであった。しかし、彼がこれらの障害を乗り越えるきっかけになったのが、今日のブログの味噌である。即ち、イシコフ記者が大統領の「私はルインスキーと性的関係はありません。」と証言したことを知ったからである。彼はこれを「嘘」だと断定したのである。それで検察の制止を振り切って、会社にテープの存在の公表に踏み切らせたのが経緯である。

結果的にクリントン氏は130年振りかの大統領弾劾裁判にかけられるが、大統領職は失わずに済んでいる。判決が上院議員100名の投票なので辛うじて過半数を押さえて済んではいるが、大統領の嘘に対するメディアや世論の厳しさは驚くばかりだ。「アンダー コントロール」に象徴される安倍総理の嘘発言を上げだしたらきりがあるまい。アメリカであれば政治生命が幾つあっても足りぬだろう。

現政権は総理のみならず、文科相や前の小渕経産相などもそうだが、どう見ても白々しい嘘話をして何となく逃げ切ってしまう。政治風土の違いと言ってしまえばそれまでだが、むしろメディア側の政治家に対する姿勢、攻め方に、より大きな問題がありそうだと思わせた番組であった。

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