2015年6月26日金曜日

勉強会

昨夜テレビ東京の歌謡番組を観ていたら、歌手の青木光一さんが生出演で経験談を語っていた。氏は90歳だそうだが矍鑠たるものだ。満州奉天で19歳にして既に軍務に就いていて、終戦と同時にシベリヤに引っ張られ炭鉱での労務に復した後、途中から芸は身を助くの喩えで演芸班員となって少しは楽をした。でも復員できたのは昭和24年とかなので、相当な苦労があったようだ。普段歌謡番組は食事中のBGMとして流れているのだが、このインタビューは箸を置いてモニターに見入ってしまった。

父親からは戦争中の体験談はほとんど聞くことが無かったが、就職したての頃は得意先に沢山おられた旧軍関係者から、何かの折に僅かではあるが体験談を聞かせて頂いたことが何回かある。どの方の話を伺っても、戦争を美化する話は全く無く、何れの場合も戦争とか軍隊生活が如何に不合理であったかという話ばかりだった。こういった話の記憶が積み重なって、戦争に対する嫌悪感が醸成されているのも否めないだろう。

やはり経験談には傾聴に値するものがあって影響は大きいので、ある意味での勉強とも言える。当然それらの話を補充するような本とか映画からの知識も勿論ある。誰しも自分で経験できないことは、このようにして学ぶことになるのだろう。戦争のことに限らないが、同窓会などで聞く講演なども、殆ど経験談がベースになっているので非常に勉強になる。この期に及んで今更勉強とは烏滸がましいので、楽しいとか面白いと言い換えることができるかもしれぬ。

これまで聞いた機会は殆ど無いに等しいが、講師が作家先生でも勿論同じで、小説を書く難しさとかコツを教えてもらえるとすれば是非聞いてみたいものだ。人間だれしも似たような興味や関心があるだろうから、国会議員が講師を頼んで勉強会と称することを企てるも又ありだろう。今朝一番のニュースで、昨日自民党の一部議員が開いた勉強会が話題になっていた。「多分これは火がつくね。勉強会であれば百田尚樹氏なんて作家より、夕べの青木光一氏の方が余程ためになるね。」なんて婆さんと冗談めいて話していたら、久し振りに開催された衆議院安保特別委員会で早速燃え上がったようだ。

安倍総理は敢えて平然を装ってはいるが、内心少しは動揺しているだろう。当たり前だ。作家を呼んでの勉強会であれば、文章の作り方や正しい日本語の使い方について語ってもらえばいいのに、何を好んで何の経験も無い人間に安全保障について語らせようと言うのか。安全保障問題であれば村上春樹氏でも招聘すべきであるだろう。

でも村上春樹氏では、先日の憲法審査会の憲法学者の二の舞にもなり兼ねないか。ったく笑わせてくれるものだ。

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