2015年6月19日金曜日

芸能人の生きざま

芸能人が舞台を離れて、或いは舞台を変えて政治の世界で活躍することは最近よくある話で珍しくはないし、別に非難すべきことでもなかろう。参議院議員や東京都知事を務めた青島幸男氏の例もあるし、東国原英夫宮崎県知事なんて例もあるが、大阪にはこの例が特に多いのは何故だろうか。どうでもいいことではあるが、芸能人は売れてなんぼ、マスコミに取り上げられる回数が多くなることだけを目標に生きている、日夜努力を重ねるのだから政治的思想信条が固いと期待する方が土台無理なのかもしれぬ。

それにしても、先日政治家引退宣言を出した橋下徹大阪市長は面白い。弁護士資格を持ちながら好んで芸能界入りをしただけあって、真の芸能人らしさが彼の人気を支えているのだろう。今年いっぱいで大阪市長はお辞めになるそうだが、西川きよし師匠のように再び舞台に戻らなくても、ネームバリューは衰えることもなく弁護士事務所は繁盛するだろう。のみならず、高い人気に目を付けた安倍総理に食事に誘われるや、たちまちつい先日までの政治信条を覆して政権与党にすり寄る姿勢を見せている。

政治家引退なんては格好は付けていたが、自身のツイッターで15日から突然〈民主党は政党の方向性がまったく見えない〉〈民主党という政党は日本の国にとってよくない〉〈維新の党は一線を画すべき〉と、狂ったように民主党をバッシング。と同時に、〈内閣における憲法の有権解釈者は総理大臣。憲法解釈が時代とともに変遷するのは当然のこと〉と、民主党攻撃を始めて集団的自衛権の憲法解釈を変更した安倍首相にエールを送っているそうだ。ある意味見上げた芸能人魂で、当分食い扶持に不自由はしないだろうし、中央政界に復活なんてことがあるやもしれぬと夕刊紙(日刊ゲンダイ)に書かれたりしている。

維新の党の代表は退いた体裁にはなっているらしいが、最高顧問の肩書はあるし、本人にすれば未だ党首気分でもあろう。維新の党は衆参併せると51名の議員を有する大政党だから、安倍総理ならずとも今後の動きが気にはなる。全員が橋下氏の意向に沿って動かは分からないにしても、意向に沿う議員が皆無ということも考えにくい。安倍総理からすれば、何人でもいいから安保法制改正の議決の時に欠席をしないでくれれば、強行採決ではないとの言い訳が立つとのこと。

例え反対するにしても、出席するだけで与党からのご褒美が期待できる。しかも褒美は次の選挙絡みであるのは当たり前でとなれば、次の選挙が心もとない新人議員の心が動くのは人情だろう。しかしその場合の約束は大抵空約束で、党が分裂したりすると普通惨めな結果にあるそうだ。これはテレビで元共同通信社のジャーナリスト後藤謙次氏が喋っていた。その時はまさに「一将功成りて万骨枯る」の喩えとなるだろうが、それも芸能人らしくていいかもしれぬ。

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