2015年2月16日月曜日

「国益」とは?

最近しょっちゅう耳にする言葉に「国益」がある。特に政治の世界で頻繁に使用されるが、聞くたびに違和感が残る。そもそも国益とは何ぞや。言うまでも無く「国の利益」、換言すれば「国家の利益」に違いない。しかし「国家の利益」は必ずしも「国民の利益」ではないのか?そこで違和感を覚えてしまうのだ。

先週、ヤマト運輸が「宅配便の配送網を活用してダイレクトメールやカタログなどを運ぶ「クロネコメール便」を3月末に廃止する。」と発表した。最近自宅に届くダイレクトメールの類は殆どこの「クロネコメール便」と言っても過言ではない。何でも一昨年度の取扱量は20億冊強、金額が1300億強と言うのだから、ヤマトにすれば相当な損失を覚悟の決断だろう。それよりなにより、利用していた人達は、このサービスが無くなると、必然より高コストのゆうメールに頼らざるを得なくなる。

ゆうメールは同じ民間企業の日本郵政(株)の行っているサービスである。小泉元総理の「郵政が民営化されれば、国家財政も国民の経済も全てうまくいく。即ち国益に叶うのだ。」との甘い言葉で出現した企業なのはご承知の通りである。国益に沿った企業だから国家が保護しているのかどうか知らないが、当時見直された筈の郵便法やらなんやら、素人にはさっぱり分からないが、ヤマト運輸みたい歴然とした民間企業は、何やかやと嫌がらせを受けているのだろう。

1200億円からの売り上げをブタにする覚悟を決めざるを得なかったのは、並大抵の決断ではない。その嫌がらせも度を越えているに違いない。これは正に「国益」を損ねることだと思うが、政治家は何を考えているのだろう。彼らが考える国家・国益とは、どう考えても国民を無視したところにあるように思える事象は、現政権になって特に多い。確かに1億2千万人の人間全員が、諸手を上げて歓迎するような政策はあり得ないかもしれない。どんな政策にも不満分子は存在するだろう。

最近は民主主義にさえ疑問を感じ始めているが、それでも最大多数を尊重する議会制民主主義の原則は理解している。しかし、現政権が議会に圧倒的多数議席を維持しているからと言って、野党の言い分を全く無視していい筈は無い。それでは専制国家と変わらないが、残念ながら現政権のことの運び方を見る限り、それに近いものを感じるのは齢の所為だろうか。

内政もそうなら、今日、在イエメン日本大使館閉鎖のニュースに接して思うのは、外交また然りである。我が国はこれまで、弱小国であったかもしれぬが、日本の旅券を持てば、地球上どこへでも比較的自由に旅行が出来ていた。卒業記念とか爺婆の旅行とか、老いも若きも海外旅行を楽しんだ時代があった。最近は各地で紛争が多発しているので、その旅先が少し不自由になっている筈だ。そこに持ってきて総理の「世界の中心で輝く日本」と来たもんだ。

こちらは海外旅行の趣味が無いから良いが、日本人にとっての世界が益々狭くなりつつあることだけはよく分かる。総理は強い方についていれば間違いないと思っているのだろう。目立ちたがりの危うさと、紛争に対して距離を取ることの大切さを誰か教えてやってほしいものだ。

2 件のコメント:

masayan12 さんのコメント...

クロネコヤマトのメール便撤退は納得できません。省益だか何だか知りませんが。国民の利益に反していることは間違い有りません。
にも関わらず安倍政権の支持率が高いことに我慢がなりません。国民がバカなのか調査がインチキなのか。
理路整然たる貴政権批判の記事を読むたびに気持ちがスッキリします。

senkawa爺 さんのコメント...

masayan12 さん
賛同のコメントありがとうございます。
本当に腹立たしいことですね。