2015年1月15日木曜日

役人天国予算案

普通であれば年末の御用納めまでには上がる筈の来年度予算案が昨日やっと発表になった。これで予算審議の時間が短縮されるとか、新年度予算の執行が遅れると言った一般的な指摘はその通りだろうが、庶民にとってどんな実態的な影響があるかは分からない。予算案の中身も仕事で関係する人には興味があっても、仕事をしていないので興味が湧かない。どうせ弱者には薄く、強者と宗主国アメリカに味方する組み立てになっているに決まっているだろう。虚しさばかりが先立つことだが、他に書くこともないので少し触れておく。

予算編成は霞が関官僚の半年がかり、或いは9か月かもっと言えば1年の仕事の大部分と言えよう。全体で歳入見積り約60兆円に対し70兆円を超す政策経費とあるから、使い道を考えるお役人も歓喜の涙にむせびながら自分の権益の拡大を喜び、官邸が喜びそうなお題目をひねり出すのに苦労したことだろう。査定するのは財務省主計局の役人仲間で、お役人うちでは何故か一番偉いとされている。

政治の中枢と最も距離が近いということで、ここが使い方を考える各省庁と政治家の中継ポイントだから、財務省主計局が塩梅を図ることから古来変な力を持つのは当然のことだ。勿論政治家が幾ら無駄遣いが得意でも、60兆円を超えるお金の使い道なんぞチェックできる筈は無い。案を発表する時、総体的な説明で辻褄を合わせてくれることだけを要求するに過ぎない。少なくとも政治家よりは頭の良いお役人たちが練りに練ったお題目だから、その辺に抜かりがある訳が無い。

かくして「景気回復と財政の健全性回復、2本の目標を同時に目指す素晴らしい案」が出来上がり、マスコミは臆面もなくその台詞を受け流している。今朝びっくりしたのはテレビ朝日の番組「グッド・モーニング」で「予算案について読売と産経は比較的ニュートラルな評価、朝日・毎日・東京は比較的辛口の評価をしている。」との報道である。テレビ局のアナウサーが「ニュートラル」なる英語を知らない筈もあるまいに、なんでこんな表現をしたのか?書かれた内容は読まずとも分かる。後段の3紙と対照的に「政府案を評価」と素直に言えばいいのにと思ってしまった。

同じテレビ朝日の次の番組「モーニングバード」の9時少し過ぎに木曜レギュラーの「そもそも総研」(玉川徹のタマペディアと称している)がある。今日は株の方もお休みのようなのでたまたま観ることが出来た。予算案に直接触れてはいないが、示唆するところが多くてためになった。同じテレビ局でも報道系と社会情報系ではこれほどまでに違うことの証しに内容を書いておく。

テーマは「GPIF」正式には(年金積立金管理運用独立行政法人)らしい。100兆円を超す年金基金の運用をする機関で、今年から株式運用を一気に倍にすることを決めて有名になったことだけは知っていたが、殆ど何も知らなかったに等しい。公的資金を博奕で運用する発想は誰に聞いても感心しないだろうが、びっくりしたのがこの機関の前身、俄かには信じがたいが公的資金に莫大な穴をあけた「グリーンピア」で有名な「年金福祉事業団」とのこと。「グリーンピア」事件で責任を取った人間は一人も居ないだけでなくて、焼け太りの典型である。

今やお役人は自分の役所のことだけを考え、豊富な予算を手玉にやりたい放題で、国民のことなど全く念頭に無いと言っても言い過ぎではないかもしれぬ。無駄を云々以前の問題だ。これをチェックできるのは政治家しかいないのだが、その親玉が正月からゴルフと高級レストランに入り浸っているのだから、何もできるわけがない。本気で財政再建を図るには、はなから予算半減なら半減と決めて掛からなければ、永遠に財政再建が出来る筈もあるまい。

そのためには政治家には上杉鷹山や恩田木工のような、率先垂範の覚悟が求められる筈だ。お役人様は楽ちんだろうが政治家も気楽なものだ。

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