2014年8月23日土曜日

政治家に関する語り草

ドイツのメルケル首相は今年の夏休み(2週間程ではなかったかな?)に、アルプスの山登りを楽しんだと読んだ記憶がある。我が総理閣下は今月16日から27日まで、都心から僅か車で2時間程度の箱根や河口湖付近にお持ちのご自分のご別荘で、ゴルフをメインにした休暇を楽しまれる予定だったそうだ。ところがご案内の通り、20日早朝から広島市内住宅街で発生した土砂崩れ災害に、お心を悩ませられて、その日のゴルフを途中で止めて東京に戻られた。

総理のご趣味がメルケルさんと同じ山登りだったら大変だったろうな。お手軽なゴルフだったことにお慶びを申し上げたい。尤も、古屋特命担当大臣(防災担当)が仰るには 「別に総理が東京に居て貰わなくても特段の問題は無い。総理とも連絡を取り合ってなすべき手段は全て講じている。」とのことで、総理は担当大臣さえ決めておけば、別に年がら年中好きなゴルフをしていてもいいような存在らしい。

ならば開き直って予定通り27日まで山梨県に居続ければいいとも思うが、天皇ご一家がそれぞれ夏のご静養の予定を取りやめたことを聞いて拙いと思ったのか、官房長官からのアドバイスが効いたのか、一緒にプレーしていた森元総理の顔を見ているうちに気が変わったか、何れにしても急に気が変わったことだけは間違いない。前から分かってはいることだが、なんともご粗末な判断力の持ち主だ。こういう人間に限って「最終判断は総理大臣たる私がします。」と胸を張るし、それを聞く度にこちらは胸がやるせなくなってしまう。

野党は野党で久しぶりに1強総理の弱点でも掴んだように大騒ぎして、20日の総理の行動を閉会中審議までして追及するようなことになってしまった。敢えて重箱の隅を突っつくような真似はせぬ方が賢い筈で、これも悲しいことだ。元より総理の関心は国民の暮らしや命には無く、アメリカ政府の意向とか、何か我々には思いも及ばない他所にあることは明らかではないか。もし野党自身が彼と違うと言うなら、その本質的なところ違いを明らかにしてから、本番国会で正々堂々の論戦を挑むべきだろう。

閉会中審議のお題目は「豪雨災害の原因究明と復旧対策」らしいが、別に野党にも良い知恵があるとはとても思えぬ。誰が考えても、政府にできることは復旧のために出来るだけ多額の予算を張り付けること、それ以外は殆ど考えられないだろう。原因なんか素人集団が何を論じようと全く無益なことだ。もう大分以前(2007年)ことだが、白馬連山縦走のために信州山奥の北小谷に行った時に地元の人から聞いた話を思い出した。1996年12月、ここ糸魚川で大規模な土石流が発生して10数人の出稼ぎ工事関係者が亡くなる大事故が起こった。住宅被害は殆ど無かったが、生活道路が寸断され真冬のことでもあり住民の難儀は大変だったらしい。

時の建設大臣は亀井静香氏、彼が事故発生直後ヘリで現場に急行してきたそうだ。そして帰京するや即座に復興予算3000億円を決めたことが地元の語り草になっていた。1大臣の独断でそんな政治行動が可能だったのはバブル時代の所以でもあり、褒められるべきものかどうかは分からない。しかし、災害発生から2日も3日も経ってから総理官邸で仰々しい関係閣僚会議が開かれ、それぞれの大臣に対し得意顔で「指示しました。」と言われてもなぁ、である。

明日総理が態々現地視察と報道されているが、行ったところで、現地で懸命の作業に会ったっている人たちの迷惑になることだけは明らかで、被災者や作業担当者にどんな福音があると言うのか。少なくとも亀井氏のような語り草にはなりえないだろう。

0 件のコメント: