2014年7月9日水曜日

一人芝居では困る

暇なシニア女性に多く見られる傾向だが、現総理の海外旅行好きは少し珍しい珍しいのではないか。政府専用機を駆って世界を飛び回ることを楽しんでいる感がある。ネットで調べて見ると昨年は13回、今年に入って既に8回目の海外訪問をしている最中らしい。歴代総理の中で突出した回数である。まさか海外旅行することが外交だと勘違いしている訳ではないだろうが、総理自身が外国に赴くからには相応の重みがある理由が無ければならぬ筈。

よく言われているのは、中国が武力をもって我が国を威嚇するので、これに対抗するために中国包囲網を形成する目的で自ら出向いているとの説。そのような報道をするメディアもどうかと思うが、中国が我が国の貿易対象国として掛け替えのない取引先であり、中国を敵視して日本の国益が図れる筈もないと思うのは間違っているのだろうか?少し経済発展の速度が落ち始めたからとか、他のアジア諸国やアフリカ諸国が経済発展しつつあるなんて言っても、その規模に於いて、中国を凌駕するのは未だだいぶ先のことに違いあるまい。

その中国には先日ドイツのメルケル首相が、就任以来7度目の訪問をして大歓迎されていると報道されているし、先月の李克強首相の訪英ではごり押しとか何とか悪口を言われているが、エリザベス女王への面会も果たして、結果的には「中国人はタフな交渉相手だ」と言わしめている。この下地は昨年末に英国のキャメロン首相の訪中での発言「英国は中国の欧州最強の支持者になる」にあるのは衆知のことである。先日の習主席の訪韓のニュースでも思うが、北朝鮮を差し置いて韓国を訪問することについては、それこそ相当の思惑を秘めてのことだろう。

徒に中国を褒めたくないが、内外の動乱を俯瞰して、何が国益に繋がるかを相当慎重に計算したうえで、政治家トップが互いに役割を分担しているように見える。彼らの動きは国内へ報道されると同時に、諸外国に向けて大きなメッセージとなっている。アメリカの大統領が中国が好きかどうかは知らないが、少なくとも習主席をキャンプデービッドに招待して少なくとも私的な時間を3日も作らねばならなかった事実。天皇陛下の宮中晩さん会すら欠席したオバマ夫人が、子供を連れて私的にと言いながら1週間も中国を訪問していた事実。

アメリカですら中国を大国と認めざるを得ない何かがある訳だ。一方で、総理がインドやオーストラリア訪問すると日本国内に向け、首脳間で中国を牽制することで意見の一致を見たと誇らしげ発表される。そのことは時間を置くまでも無く中国政権幹部の知ることになるのは間違いあるまい。しかし、中国がそのことについて特別のコメントは発したことは無い。中国が安倍氏を見限って、どう見ても馬鹿を相手にしないとの態度でいるのも明らかだ。

何れにしても我が総理の一人芝居、即ち対中イキガリをアメリカはどのように理解評価しているのだろうか?「どうせ何を言おうと何もできないことが分かっている。対中関係の悪化もこちらにとっては好都合だ。解釈改憲をやってのけてくれたご褒美に、好きなようにやらせてやる。北朝鮮とでも遊んでいろ!」では困ってしまう。

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