日本人にとっての桜花

12日土曜日に総理主催の観桜会が新宿御苑で開かれ、招待された1万4千人の客の前で安倍総理が挨拶の中に自作の句なるものを披露したと報道された。引用するのも恥ずかしいが「給料の上がりし春は八重桜」だそうだ。日本語の乱れについては昨日書いたばかりだが、ここに至ると問題の深刻さを益々感じずにはいられない。嘗て小泉氏が総理時代、同じ観桜会で記者から感想を問われた時に答えたのが、有名な細川ガラシャの辞世の一句「散りぬべき時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ(細川ガラシャ)」だそうだ。

当時の小泉氏については哲学的思想が何も無く只アメリカ一辺倒だからと、余り良い印象を持っていなかった故かどうか、この場面は印象に残っていない。しかし今、安倍総理と比べると、瞬間的に歴史的な句を口にした小泉氏の方が月であるとすれば、安倍総理はすっぽんと断ぜざるを得ない。他人の知性の欠如は目につくが、お前はどうかと問われると返事に窮する。どう考えても脳味噌のキャパが低いので、知性の在庫は不足しがちだろう。

不足しがちな知性を時々潤おしてくれている読み物に、少しマイナーな同人誌がある。タイトルが「縦走」A5版40ページほどの小冊子で、年に4回発行している。最初に勤務した会社の先輩クリエーターが編集長で、営業の先輩や後輩が参加していて、後輩が毎号無料(定価本体400円)で送ってくれている。編集長が87歳と言うこともあり、同人の殆どが60歳を超えた老人であるが、たまに10代のイラストレーターが参加したりして、バラエティーに富んだキャラクターの文章が並び、非常に刺激的でもある。

折角ここまで書いたので申し込み先を下記に添えておこう。
〒284-0023四街道市みそら4-23-12赤沼方
「縦走倶楽部」電話:043-432-8860

先週「縦走」春号(61号)が送られてきた。特集が「私の好きな俳句や短歌」で、筆者の多くがそれぞれの思いを綴っているのを読んだばかりだった。その中に細川ガラシャの辞世も取り上げられていた。今の義務教育ではどうなっているか分からないが、小学生時代の半ば頃だろうか、正月にクラスでで百人一首の大会をした記憶がある。アラフォー世代になった娘の頃も同様の競技会があったようで、歌を一所懸命暗記する努力をしていたことを思い出した。

65歳を超えてから俳句を始めた友人もいるし、日本人には自ずから言葉を選ぶ楽しさが、一種の文化として根付いていて当たり前だと思う。小生は不幸にして才能が無くて、俳句も和歌もとても作れないが、このように毎日駄文を綴って慰めにしている。鑑賞だけだが郷里北信濃が生んだ俳人小林一茶が大好きである。理由は小学4年生の時、父が東京出張の土産に買ってきてくれた「子供向け、小林一茶伝」を読んだことに依るだろう。特好きな句がこれである。
「痩せ蛙 負けるな一茶 ここにあり」

縦走の編集長は春号の中で、自分はあと3年で散ることを覚悟しているように書かれているが、小生は痩せ蛙のくせに未だ負けまいとしている。ガラシャの歌を引くまでもなく、最近別の月刊誌(新潮45:4月号で)、年寄りになりきれぬ年寄りが多くて困るとの文章も読んだばかり。鏡に映る自分の顔を見て複雑な思いの今日この頃である。

コメント

tak さんのコメント…
安倍句は本当に程度が低く驚くばかりです。
小泉氏はやはりモノが違いますね。彼は潔かった。
senkawa爺 さんの投稿…
takさん
コメントありがとうございます。
本当に引用するのも嫌になりました。
そちらは桜が満開だろうと思います。
明日法事で帰りますので楽しみです。

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