2014年4月13日日曜日

怖い話

他人のことを言えた義理ではないかもしれぬが、別に外来語でもなくれっきとした日本語である筈だが、意味の分からない言葉遣いが横行しすぎる。現政権幹部がお好きで、やたらに使いたがる形容詞「積極的」「戦略的」や形容詞ではないが地球儀外交なんて言葉は半分理解できるとしても、次の文句に至ると難しすぎて理解不能に近い。先日ワシントンで開かれた20か国財務相・中央銀行総裁会議の1日目終了後に麻生財務相が発表した「地政学的な不透明性の低減に向けて、G20が緊密に連絡することが重要であり、 引き続きG20で緊密に連携していく。」のことである。

もう少し程度の低い小生にも分かるような言葉遣いが選べないものだろうか?「地政学」なる言葉を知ったのは学校を卒業して相当後のことであるが、未だにその意味をよく理解できていない。麻生氏の発言を勝手に翻訳するとこんなことだろうか?「ウクライナで戦争の危機が迫っているので、その危機を回避するために20か国が協力してウクライナに財政支援する必要がある。この認識は共有できたが、それぞれの国がウクライナと個別の関係を持っているので、協力と言っても各国が一致して財政支援は難しそうだ。だからもっとよく相談しましょう。てなことでまだ結論は出ませんでした。」

結局昨日会議終了時に発表された共同声明でも、国別支援の具体策は何も盛り込まれていないようだ。もし小生の受け止めで大筋合っていたとしても、「地政学的不透明性」だけは理解不能だ。メディア関係者は言葉の使い方についてはプロなのだから、読者や視聴者に対して丁寧な翻訳があってもいいと思うが、垂れ流しのままだ。原稿を用意する役人もいけない。麻生大臣が漢字の読み方が満足に出来ぬことは十分承知している筈だが、漢字にルビをふって間違わない配慮をしたとしても、意味が分からない事を喋らせるのはもっと罪が重い。大臣をオチョクッテいるとしか思えない。

連日のようにウクライナ危機が報道され、ひょっとすると第3次世界大戦のきっかけになりかねないとまで言われるが、いまいちピンと来ない。財務大臣ともなれば、そこを十分理解されてのご発言かもしれぬ。この危機の根幹はどうもエネルギー問題に行きつくようだ。時同じくして先週末には国内のエネルギー基本計画が閣議決定されて発表された。大事なことだと思うが、基本的には311事故前と殆ど変わらないらしい。地政学的不透明感に繋がらなければいいが、原子力発電に依存していいのだろうか?

昨日のTBS系「報道特集」で原発の海の特集が放送された。原発の温排水の放出によって海は完全に死んでしまうものらしい。皮肉にも311以降2年近くも発電を停止した原発の海に、本来の藻類や魚が戻りつつあるとの報道である。この話も怖いが、先日会った友人はビルのエアコンフィルターの交換を生業としている。彼曰く「原発事故以来、古いフィルターを廃棄する前に放射線測定が義務付けられた。都内のビルで交換したフィルターの殆どが基準値を超えているので、廃棄を引き受けてもらえない。自分の倉庫に積んでおく他ないのだが、早晩行き詰るだろう。」黙って聞いていたが、怖い話である。

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