2013年11月13日水曜日

小泉劇場 どうする安倍さん

小泉純一郎氏は好き嫌いで言うと嫌いな人物の一人である。理由は幾つかある。気障で如何にも薄っぺらな感じ、特段の勉強をしたわけでもないだろうにワンイッシュー・ワンワードで政界を振り回したのだから役者とすれば立派と言えようが、政治家には相応しくない。思い込みが強くて他人の忠告に聞く耳を持たない。結果として政治にポピュリズムを持ち込み、政治の形を劇的に変えたばかりでなく、自主独立を目指してきた我が国を完全に植民地化する方向に切り換えるきっかけを作った。他にもあるがこれくらいにしておこう。

但し、認めなくてはならないことに演説の上手さがある。目玉のワンフレーズをいろんな角度から断定的な言葉を積み重ねて説得するのは、善悪は別としてまさに現代のテレビコマーシャルと同様で、非常に説得力を持ってしまうことは認めざるを得まい。安倍総理の科白の分かり難さとは対照的である。その彼が、このところ脱原発発言で注目を集めている。趣味の音楽や芝居鑑賞の日々で、優雅なな隠居生活を楽しんでいるばかりと思っていたが、以外に生臭い。夏ころからの関連発言は、何かの目標に向かって積み上げられてきたようだ。

昨日、満を持してかどうか知らないが日本記者クラブでの記者会見と来た。取り敢えずその会見を通しで聞いてみた。記者クラブでの会見は8年振りだそうだが、相変わらずの小泉節である。論理構成にはかなり説得力があり、ネット上でも、彼の思い込みはかなり本気ではないかとの意見が見られるが、そのように感じてしまう。こちらが単純なせいもある。問題は安倍総理に呼びかけるスタイルの会見であり、自ら再び陣頭に立っての気構えが無いので、盛り上がらないだろうし、腹に別の一物があるのではの論もある。

会見の前日に石破自民党幹事長が「小泉さんの言っていることは我が党の方針とほとんど同じ」と発言した。これを裏付ける為だったようだが、読売の記者(再稼働推進の立場と自ら言っている)の質問「脱原発と言っても時期はいつからか?」に対して「即すべき」と間髪入れずに答えている。明らかに読売の記者が期待した答ではなかったようだ。もし芝居だとしたら、こうは行かなかっただろう。自分で政界に復帰して旗を振りたいとまでは思わないが、自民党をして脱原発に方向転換させたい気分は相当感じた。

先日の同級会で、現在も日本原電に籍を置いて放射性廃棄物に含まれる放射性物質の半減期を減らす研究している友人と同室になった。脱原発にシンパシーを感じていることを断ったうえで彼の考えを聞いてみた。彼の論点を要約すれば、高レベル放射性廃棄物の処理については技術は確立しているし、量も石炭なんぞに比べれば比較ならない程少ないから脱原発なんて選択肢は考えられないとのこと。その夜はそんなものかと思ったが、小泉氏のフィンランドのオンカロ処理場見学の話を聞くと、どうもそうとも言えないようだ。

オンカロの施設は実に広大(岩盤の地下400mで2㌔×2㌔の空間)であるが、原発4基運転中のうち2基分の廃棄物しか受け入れ出来ないらしい。フィンランドでも他の土地が見つからなくて困っているとか、数万年埋めておいて、未来の人類がここに近付かないようにするために、危険を如何なる文字か記号かで知らせるのか頭を痛めているらしい。こんな逸話を挿入したりして、演説では人を逸らさない。昨日のニュースを見る限り、総理周辺からの反論は出ているが、総理自身は一言も発していない。駅で夕刊紙の広告を見ると小泉-小沢と提携なんて書いてある。安倍さんさぞ困っているのだろう。

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