2013年9月10日火曜日

オリンピック景気は結構だが

昨夜のテレビニュースを見ていて笑ってしまった。株屋さんの前でインタビューに笑顔で応じた小父さんが「この調子で後7年、株価も上がり続けてほしいものですね。」庶民の偽らざる気持ちなんだろう。総理や閣僚の皆さんもオリンピック招致は成功するわ、4~6月の経済指標は速報値よりずっと良くなるわで自然に顔が弛まざるを得ないみたいだ。

福島の仮設住まいの人は総理の発言に多少不満があるようだが、それでも世界に向けて言い切った以上は、これからは少しまともになるのではと半分期待もにじませている。結構毛だらけで後先考えずに国を挙げて浮かれるのも結構だろうが、昭和16年12月8日の真珠湾攻撃に成功から僅か3年半後の日本がどんな状況であったか、思いを馳せる人間が居ても良いと思う。

敗戦から悪夢のような状態が最低5年は続き、韓半島に戦争勃発すると言う図らざる事件に多少助けられても、更に5年はまとも白米を食べられない国民が沢山居たのが事実。昭和30年頃には幸いなことに小生はひもじい思いをしなくなっていたが、同級生には弁当を持ってこれない人がたまに居たりしたことを覚えている。それでも9年後の東京オリンピックに向けて日本は急速な経済成長をしたのだろう。

7年続けて株価が上がり続けたことがあったかもしれない。確かに前回の東京オリンピックは、東京だけでなく日本中に夢の実現をもたらし、その後の成長を加速させたことは否定できない。代わりに失ったものの中に先の大戦の苦い思い出があると思うのだ。日本人の長所とすべきなのかも知らぬが、熱しやすいことに加え、都合の悪い過去はあっさり忘れるテクニックに長けている。戦死した軍人を神様に祀り上げててしまうのもその一例だ。

ある人に言わせると「神に祀り上げることで、その戦が如何に無駄なものであったかを覆い隠している」そうだ。話が横道にそれてしまったが、今回決まったオリンピック開催の意義を震災からの復興に結び付ける向きがある。しかしこれはどう考えても前回のオリンピックとは異なり、牽強付会の屁理屈に過ぎるだろう。どちらかと言えば金儲けのチャンスを窺っていた一部の人には絶好の機会の巡りあわせかもしれぬ。

しかし被災地で困窮している人に行き渡る恩恵は如何程のものだろうか。疑問を感じざるを得ない。更に気になるのは祭りの後である。小生長野の出身であるので、オリンピック前の熱気と後に経済の急速収縮がもたらしたマイナス面をよく知っている。東京は立地条件が異なるので、同じ轍を踏まないなら結構だ。何れにしても震災と原発事故のことだけは忘れてはいけない。

2 件のコメント:

しあわせさがし(秋桜) さんのコメント...

ご無沙汰しております。

オリンピック開催決定については
わたしも複雑な思いをしているひとりです。

こぞって浮かれているなか
疑問点だらけが膨らんでいきます。
考えてみると恐ろしい気もします。

おっしゃるとおり、熱しやすく覚め易い国民性。
震災や原発など、どこまで本気で考えているのか・・・

憂慮しています。

senkawa爺 さんのコメント...

しあわせさがし(秋桜)さん
私の方こそすっかりご無沙汰しておりまして申し訳ありません。
また、コメントを頂きありがとうございます。
嘗てと異なりマスメディアが発達していますので、現在は熱気が全国を覆っているかとも思いますが、東京から離れるほど覚醒も早く実感が伴わなくなっていくことでしょう。
祭りの後には大きな負の遺産がのしかかって来る筈です。
その時、全国に負担を拡散すること無しに済ますことができればいいのですか。