2013年7月5日金曜日

政権公約と宣伝広告

世界で一番ではないだろうが、現代日本にはいわゆるマスメディアなるものが溢れている。人口に対する新聞雑誌の発行部数、ラジオやテレビ受信機の普及台数、放送局の数、どれをとっても受け手からするとお腹一杯の感がある。加えて最近はパソコンを結ぶインターネット情報なんぞも、不特定多数が受信するのだからマスメディアの一翼と言える。兎に角数量的に見れば十分見たいであっても、情報の発信者と受信者双方の「情報活用能力」(リテラシーと言われる)が果たしてどんなものやら?

江戸時代の数少ない瓦版の方が、その点に関しては高水準にあったかもしれない。疑問符をつけはしたが、兎に角、巷に似たような情報があふれる時代であるのは事実だ。であるのに、昨日始まった参議院選挙は投票日まで17日間もあるとのこと。これに文句をつけたくて書いている。なるべく見聞の重複を避けたいとは思って努力はしているが、先週半ば以降、各政党の幹部クラスの口から発せられる能書きは、既に聞き飽きる段階に達している。候補者の顔が見えたのは昨日であるが、政党政治である以上、候補者の公約を周知するのに2週間も要らないだろう。

北海道、福島、沖縄などの自民党候補者は党の公約と異なる公約を掲げるらしいが、これにしても17日は長すぎないか?やかましくてイライラするのが一つ。もう1点は、メディアの仕掛ける演出が如何なるものであれ、政党の幹部はマネキン人形かCMタレントよろしく決まり文句しか喋らないことにある。既に何回か各種メディアで行われた党首討論を垣間見て思ってしまう。公開されている討論会席上、与党側にやや厳しめの質問が投げかけられも、安倍総理は意味不明の笑みと共に、質問にはまともに答えず意味不明の答えではぐらかす。

これを受けて、せめて中立の立場のような顔をしているメディア側人間は、その不誠実さを追求すべきと思うが、そんな現象は全く起きえない。党首間のやり取りも制限時間云々で、視聴者は消化不良のまま、与党のコマーシャルを聞く思いに終わるだろう。随分芸の無い話だが1回や2回は必要を認めたにしても、これから先2週間もあることを想うとうんざりしてしまう。このような観点からすると、昨日自民党が発表したTBSの取材拒否は興味がある。しかし今のところ詳しく調べる気は起きないし、昨夜は殆どニュースにチャンネルを合わせることなく、19時台から22時半近くまで、テレビ東京の「懐メロ特集」を見てすぐ寝てしまった。

広告業界で生きてきた身で言うのは如何かとは思うが、政治が広告屋さんの手で管理されるのは嘆かわしいことである。アメリカに範を求めているらしいが、所詮宣伝広告は針小棒大、真理や核心からほど遠いところに消費者を誘う手口である。虚偽は禁止されていてもハッタリがいけないとは言われない。でも一歩間違うとカネボウ化粧品みたいことになりかねない。広告を信じた消費者の損害はお金では解決されないだろう。政治家の公約にこんな比喩を持ち出すのは不本意であるが、どうしても宣伝臭さが鼻についてしまうことが悲しい。

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