2013年5月2日木曜日

映画鑑賞 アンビリーバブル!

俳優のダスティン・ホフマンがメガホンを取ったことも相俟って評判が高いので、久し振りに映画館に足を運んで観た「カルテット!人生のオペラハウス」。ストーリーが先ず日本人には想像もできないだろう。養老院と来れば最近日本にも明るい老人ホームがあるらしいが、どうも薄暗くじめじめしたイメージが湧いてくる。映画の舞台はエゲレスの養老院、前世紀の半ばまで実在した有名な指揮者の名前が冠せて「ビーチャムハウス」と名付けられている。

場所は何処か分からぬが、古い城をホテルに改造したような作りで、引退した音楽家たちが暮らしている。実在モデルがあるかどうか知らぬが、少なくと小生には想像すらできない世界。養老院の仲でのラブロマンスだから、出演者の大部分は爺さんと婆さんばっかり。中には本当に往年のスター級音楽家が出演しているらしい。とんと知らぬ人ばかりだが、エンドロールの脇に往年の活躍ぶりが紹介されている。ヨーロッパのオペラ歌手から米国のジャズトランぺッターまでいた。

流石に主役の老け役(4人)は英国の一流俳優が演じているようだが、だれもなかなか味わいが深く、本物音楽家の共演者と上手く溶け合って好い雰囲気が出ている。ストーリーを紹介する訳にいかぬが、自分の葬式まではこのハウスの同居人意外と関係を持つことをすっぱり諦めている人たちで、殆ど全員が半惚け半痴呆の状態にあるが何故か明るい。最近この映画の主人公たちと同じ年齢になり、映画を観終わって振り返れば、己の肉体も全く同じ状況にあるではないか。

思わざる世界を垣間見た思いで様々な疑問もわいた。一つは、このハウスへの入居者の経済問題。主人公の一人は嘗ての大スターだが、一文無しになったのでここへの入居を決断するストーリーになっている。現役時代どれほど保険料を払う仕掛けになっているのか?英国人は疑問持たずに見ることが出来るのだろうか。音楽家だからそうなのか、揺り籠から墓場までの英国だからそうなのか分からないが、趣味が一致しているからと言って、こうまで集団で仲良く、しかも色恋まで忘れずていない世界が描けることには脱帽せざるを得ない。

幾ら映画での作り話にせよ、いろんな意味でスマートである。これから先と言えば、先ず「楢山節考」が思い出されてしまう小生も少し反省して少し明るく生きたいものだ。

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