2013年3月30日土曜日

新旧政権の根本思想ベクトル

前回の総選挙が昨年暮れの12月16日だから、実質的には自公が政権に返り咲いて既に3か月は経ったことになる。今のところ新政権は衆議院の圧倒的多数を背景に、政権運営は何事も順調で国民生活にも大変良い影響を及ぼしているような報道が目白押しだ。反面輸入品コストの上昇で新年度から値上げを予定するものが多く、一般消費者には所得の上昇以前に生活費の上昇が来ると警戒する気持ちが否めない家庭が多いだろう。

我が家は年金生活なので、最初からどこまで行っても所得の上昇はあり得ないが、子供たちのように働き手がいる家庭が喜ぶ話を早く聞きたいと思っている。しかし実際のところは、我々の周辺におこぼれが回ってくるのは相当先のことになりそうだ。だからと言って、報道される景気の良い人や会社の話を妬むのは慎むべきと自戒しているつもりではいる。近い将来日本全体に景気動向の恩恵が及ぶことを楽しみとしながら、少し過去と未来を考えてみた。

最近政治関係のテレビワイドショーを見ていると、政権側の出演者は次のような断じ方をする場合が多い。「景気動向や外交関係でも最近良くなっていることについては過去3年3か月の前政権の間違いを糺した結果で、良い結果に繋がらないことは全て前政権の失政が尾を引いている。」小生も民主党議員を応援したが、前政権は如何にも素人集団でご粗末であったことは多々あったのだろう。現状を見ても官僚との阿吽の呼吸と言うか操縦術では前政権と雲泥の差がありそうだ。ましてや勝てば官軍だから、出演者個人を槍玉に挙げるつもりもない。

但し、番組の全体的トーンが前政権の方向をほゞ全否定するような最近の報道姿勢については疑問を感じている。結構尽くしの報道に余念のないメディアからすると「社会における前向きなことを好んで取り上げてどこが悪い?」と開き直られるだろうし、取材対象個々の扱い方もなかなか文句をつけるのは難しいかもしれぬ。しかし前政権の3年3か月とはなんだったのだろう。馬鹿な小生だけではなく、多くの国民の支持で成立した政権であったことも事実であり、心ならずかどうかは知らぬがメディアも一時はヨイショした時もあった筈。

一番の問題は、前政権の目指した方向と現政権の目指す方向性の違いにある。 前者の政策全てを肯定的に論じないまでも、前者が多様化している社会の中で、つい見落とされがちな社会的弱者に比較的寄り添う努力をしていたことなどについては忘れないようにしてもらいたい。報道の全体的トーンとして、「メディアの中立性」について掘り下げることを期待して言いたいのである。

新政権の方向性が当然とは言え極端に正反対のベクトルになりつつあることを危惧するのである。よく人からコンクリートへと揶揄されるが、もっと基本的なところに問題があるように思う。安倍総理にはあるべき国の形、あるべき家庭像、あるべき働く人の理想像がある。個人的な思いとして否定はしないが、これが国家の政策の骨組みとなると一体どうなるのか?理想に近い家庭も企業も個人もそういるものではない。その辺のところをメディアと識者にはじっくり検証して報道に臨んでもらいたい。

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