2013年1月16日水曜日

クラシックコンサート

中学の同期生にクラシック音楽やオペラ鑑賞を趣味にしている友人がいる。1960年代前半までのミュージカル映画くらいまでなら何とか話を合わせることは可能かもしれぬが、クラシックとなったらまったく無理な話である。そもそも子供時代と言っても両親の元に暮らした高3までだが、我が家は音楽とは一切無縁であった。ラジオはあったものの、朝の英語講座とニュース以外に聞くものではなかった。

当然ながら、小中と必須の音楽の時間が大嫌いだった。年に1度か学期毎に1度だったか記憶がないが、必ず一人ずつ歌を歌わせられた。これが嫌で嫌でたまらない。何度トライしようと歌の態を成さない。伴奏している音楽担当の先生が終いには「お前は歌わなくてもいい。」と言ってくれた。この時ほどホッとした時はあるまい。また話が脇にそれるが、婆さんは音楽と家庭科の時間が大好きで、運動会と遠足になると病気になってしまったそうだ。バランスを考えるとこれほど似合いの夫婦はあるまい。

結婚して40数年の間に純粋にクラシックコンサートに行ったのは3回くらいしか無い筈である。何れも大阪勤務時代、朝日放送が本社屋のすぐ脇にABCホールをオープンした。広告屋の支店長だったので何度も招待される度に家内同伴をして、家庭での点数稼ぎをしたくらいのものである。当時映画は仕事をさぼりがてらよく見たが、入場料が千円一寸だった思う。引き換え、クラシック音楽だけではないかもしれぬが、生演奏なるもの皆倍以上の金額になる。因みに蛇足ながら、大学時代の銀座新宿のジャズ喫茶(ACBテネシー等)のドリンクが150円から300円くらいだったと思う

今やオペラとなると何万円とのこと、まして本場ヨーロッパに出かけて聴きたいと言うのだから?レコードを聴くのとどう違うのか分からないので、不思議でもある。

この友人が一昨日このブログにコメントして、共通の友人のお嬢さんが飯田橋のホテルでピアノコンサートをするので一緒にどうか?と誘ってくれた。友人は横浜在住なので14日行われた町田でのコンサートに行く予定だったが、大雪で交通手段を奪われ行けなくなってしまったので、今日の飯田橋に行くとのこと。飯田橋と言えば地下鉄で六つ目の駅、と言うことは15分と掛からない。時間は持て余すほどある。

断る理由は何もないが、料金や場所の確認のため演奏者のホームページを開く。飛び込んできたのが入場料5500円の文字。瞬間的に気持ちが萎えた。しかしよく見ると、入場料は14日のコンサートだけに掛かっているようにも見える。念のため会場のホテルに電話をすると、「明日のランチコンサートはランチをお取り頂かなくても、無料です。」と有難い返事。

ホテルは神楽坂の「アグネスホテルアンドアパートメンツ東京」理科大の後ろにひっそり佇む。その半地下の寄せ木の床の中程にピアノが置かれ、座り心地の良い椅子が100脚ほど取り囲む洒落たホール。月に1回ぐらいのペースでミニコンサートを開いているらしい。因みに今日は第94回となっていた。演奏者のお嬢さんはMiki Aokiとロシアのバイオリニスト アンドレイ・パラーノフ。詳しくは下記ホームページをご参照願いたい。
http://www.miki-aoki.com/

演目はドビッシー/月の光 他3曲(何れも初耳なので省略)、アンコールにサラサーテ/チゴイネルワイゼン(この曲だけはよく理解できた)で、12時開演で終演が12:45だった。Mikiさんのご両親に挨拶をした後、誘ってくれた友人と神楽坂のイタメシ屋で遅い夕食。1500円のランチだが前菜からオードブルまで味もいいがボリュームが凄い。カプチーノと言えばお猪口みたいカップが相場と思っていたが、普通のコーヒーカップになみなみと来た。

1時間半以上かけて、友人からクラシックについていろいろ教えて頂き、実に実り多いひと時だった。中chanさん 誘って頂きありがとう。

2 件のコメント:

中Chan さんのコメント...

昨日は、このページのご縁で現地でお会い出来まして、
幸いでした。ありがとうございました。

ホテルのランチタイムコンサートでは、しっかりと、
ピアノに支えられた、国際コンクール優勝者のヴァ
イオリンの美音に酔い、あの世からのお迎えも、
かく有りなんと思われ、幸せな気分に浸りました。

ドビュッシー「月の光」といいますと、比較的興味を
持って見ている、下記の番組

TOKYOMXテレビ「西部邁セミナール」(土曜日)
http://www.mxtv.co.jp/nishibe/archive.php?show_date=20130112

のテーマ音楽として「月の光」のJAZZ・アレンジ
ものが使われています。
ゲストに明晰な論客を配し、主張の明確な硬い番組の
割りに、春風を思わせる優しいテーマのエンディング
は快い後味を残します。

アンコールのチゴイネルワイゼンは、中・高校生頃に
Victorドーナツ盤の「巨匠ヤッシャハイフェッツ」
の名演が刷り込まれていて、その演奏以外は受付け
ない硬い頭になっていたのですが、

バラーノフ氏はハイフェッツ直系の孫弟子に当るとの
こと、同曲演奏に何の違和感もなく、ハイフェッツの
再来のごとく古い記憶に共鳴して快く聴けました。

また、チゴイネルワイゼンと言えば、鈴木清順監督
作品の映画『ツィゴイネルワイゼン』が有名です。
1980年キネマ旬報の邦画年間ベストテン第1位に
輝き、『影武者』(黒澤明監督)が同2位というのも
驚きです。

出演:原田芳雄/大楠道代/藤田敏八/大谷直子他

<解説>
4人の男女が、サラサーテ自ら演奏する「ツィゴイ
ネルワイゼン」のレコードを取り巻く、妖艶な世界
へと迷い込んでいく。
<某コメント>
内田百閒原作【サラサーテの盤】の映画化で百閒文学
の何ともいえない恐怖感を見事に表現している。

http://www.youtube.com/watch?v=EjxA5rBzwWI
映像例:極楽寺駅 (ツィゴイネルワイゼン1980)

機会がありましたら、こちらもお勧めです。





senkawa爺 さんのコメント...

中Chanさん
コンサートにお誘い頂いただけでなく、ここに書いて頂いたことも詳しく教えて頂きありがとうございます。
音楽以外にも貴兄の豊富な知識にはいつも敬服していますが、直接お話を伺っているとあっという間に時間が経ってしまいました。
本当に楽しいひと時でした。