2012年11月1日木曜日

企業倫理

ボランティアで少しばかり仕事のお手伝いしているNPO(特定非営利活動法人)がある。http://blue-sky.or.jp/
受け持っているのは事務局で資料の整理や保存がメインで、NPO本来の活動には直接コミットしていない。けれども資料に一通り目を通すので、本来の活動を通して日本のビジネス社会に於ける企業の振る舞いが目に入ってしまう。

このNPOの目的は、大学と産業界の橋渡しをして大学の研究室で眠っている新技術を社会に送り出して実用化を図ることにある。アカデミックな人が中心で、組織的にもちんまりしてるし、経済的基盤は無いに等しいものである。とは言えNPOが持っている潜在的な能力(ノウハウと言うべきか)には侮りがたいものがあるようで、結構な大企業にとっても利用価値はあるようだ。

そこでNPOとすれば喜んで仲介の労を取ることになるが、大学に眠る技術が実用化されるまでには試験実験を繰り返し、何段階かステップ上がっていかねばならない。この費用の一部は企業側に負担してもらうこともあるが、あっても雀の涙程度。大部分をNPOが公的補助を持って来たりすることはあるが、殆どの場合先生方とNPOメンバーの手弁当になる。また、この段階で必要になる時間も馬鹿にならない。殆どが1年を超すプロジェクトである。

単なる資料整理だけの小生は問題ないが、実務にあたるメンバー(友人)の業務量は相当にハードでもある。その間、企業側は毎回の実験などを見守りながら、企業としての要望で口を挟む程度のものである。でも、金を出さずに口を出すので比較的低姿勢である。しかし、ある程度のプロセスを経て成果が見えてくるとガラッと態度が変わる。

恰もこれまでの開発費用の全てを負担していたような顔で、こちらのNPOや大学又は先生を無視して成果物について企業が特許申請をしたりしかねない。事務担当の身ではあるが実に腹が立つ。日本経済全体がおかしくなったせいか、もの作りで世界に誇った一流企業が恥も外聞も無く、他人の成果を泥棒するような真似をしなければならぬようだ。

数週間前に山中先生のipsをパクって世間を騒がせた森口尚史の偽医師事件に通じるような一流企業の振る舞いに、本日たまたま遭遇してしてしまった。自分自身がコミットしている組織の話で、しかも熱すぎるくらいホットなことなのでこれ以上深く書かない方がいいだろう。パナソニックでさえ大赤字を出すご時世だから、どこの企業も「出すのは舌を出さすのも嫌だが、取れるものはなんでも取ってこい」なのかもしれない。

身の程もしらず「倫理」なんて持ち出してしまった。個人ばかりか大企業に至るまで「貧すれば貪ず」は情けない。

2 件のコメント:

kiona さんのコメント...

なるほど、日本企業はそこまで落ちぶれていますか^ ^ 「ずる賢い」のが企業だとしても、「ずるアホ」はどうかと思いますね。仮にも成果を上げたユニットにそのような対処をすればそれっきりで、金の卵は1つでいいと思ってしまうのが淡白と言うか、沼に斧を落としてしまった木こりの話を連想します。沼の精が出てきて「あなたの斧はこの金の斧?銀の斧?それともこの鉄の斧?」

鉄だから切れるのです。金や銀の斧では木は切れません^ ^

senkawa爺 さんのコメント...

kionaさん
コメントをありがとうございます。
たまたまだったらいいのですが、最近報道される経済界の大物とされる人たちの見解を聞いていても、我が田に水を引くことだけしか考えていないように感じるのがしばしばです。
農耕民族のいいところは協同精神にあると理解していましたが、グローバリズムがその精神を喪失せしめているのかもしれません。