2012年9月24日月曜日

読後感「日本経済の真相」高橋洋一著

「経済ニュース」は嘘をつくと副題がついている。今年の1月に出版されている。独特の編集で、とても経済の専門書とは言えない。素人向けに噛み砕いて書かれて読みやすく、経済音痴の自分にはとても役にたったと言える。3章22項目で構成されるが、1項目毎に先ず俗論が書かれ、その後に真相のタイトルが書かれている。

著者は冒頭に嘘か真か「私はもう15年以上、新聞をまともに読んでいない。その私が何故「日本経済の真相」を知っているのか?」と書いている。経済学者として、要約・省略されたニュース報道に頼らず、常にオリジナルデータを読みこなしている自負があるのかもしれない。例えば、政府の予算。正式な予算書は2千ページに及ぶものであるらしい。マスコミは役者が作る50ページほど(実物の3%)の書類をもとに記事を書く。

そこで書かれる記事は当然ながら役所にお誂え向きの俗論を生み出すことに繋がるそうだ。どれも面白いが、例えば「日本は財政赤字で破たん寸前」とか「復興財源の確保には増税もやむなし」と言った著者の出身母体である財務省が画策するデマを暴こうとする意図が明解である。第1章に著者が常に主張する円高対策、即ち貨幣供給量を増やせば問題の解決可能が力説強調されるが、この辺は学者によって諸説別れるだろうからどこまで信じられるか?

最終章は「2012年以降をどう生きるか」とあり、その中に「経済の知識を資産運用に生かせないかと考える人は多いが、それは難しい」著者自身が認めている。そして最後のあとがき的に「これから起こるだろう」と書き加えている。勇気ある発言と思うが、その第1が消費税増税法案で国会審議が行き詰まり野田内閣退陣、総選挙となっている。第2が「ユーロの崩壊」第3が「オバマの再選」第4が「日銀法改正が政治日程にのぼる」

相当頭がよくて、日本維新の会でも顧問的なポストにいる人のように記憶するが、こんな人でも僅か9か月前にはこんな予測をしていたわけだ。学者でさえこうなんだから、何も勉強していない政治家なんぞに経済の事を聞いても無理に決まっている。

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