2012年1月8日日曜日

東電の毒まんじゅう

今朝朝日新聞は1面トップが「東電、10議員を「厚遇」 パーティー券を多額購入」とあった。びっくりするほどの事ではないと思いつつよくよく見ると、10議員の筆頭に河野太郎とあったので、これには些か驚いた。彼は311の大事故発生以前から、日本のプルサーマル計画に強く反対していたからである。少し解説的に書けば、原子力発所がウラン燃料を使用すると、自然界には存在しないプルトニュームが発生する。

これを再加工してもう一度原子力発電用の燃料として利用すれば、燃料の利用効率は飛躍的に向上する夢のようなシステムと持て囃された時代がある。高速増殖炉と言うやつで、フランスやドイツが先鞭をつけたが、結局どこも上手くいかなかった。日本も福井県に「もんじゅ」を建設して実験を始めたが、度重なる事故でまともな運転をするに至っていない。そこでプルサーマルというその場しのぎのようなプルトニュームの利用を始めたわけだ。

河野太郎氏のホームページなどを見れば詳しく分かるが、要はプルトニュームの再利用は夢どころではなくて、とんでもない金食い虫。既に兆単位の税金が投入されて運転のめどが立たないばかりか、永遠に運転できない危険極まりない代物。無駄遣いの最たるものと言っている。即刻予算をつぎ込むのをやめるべきと声高に主張していた。兎に角太郎さんは、電力会社からしたら許されざる者の筆頭だろうし、自民党内で浮いてしまうわけだと得心していた。

そこに持ってきて原子炉爆発事故が発生した訳だ。事実福島第1の3号炉ではMOX燃料と言ってプルトニュームをウランに燃料に混合したものを使用していたので、ヨウ素やセシューム同様プルトニュームが拡散したことも明らかになっている。これでもって太郎さんは原子量政策を推進してきた自民党議員ながら、ずっと原子力推進政策に反対し続けてきた議員として、その先見性をもって一躍名を挙げた。小生も感心した一人である。

しかし今朝の報道では、東電に政治資金パーティーの件を大量に買わせた自民党議員の筆頭に彼の名前が特筆大書されている。小沢一郎ではないが企業献金無しに政治活動なんかできるわけもないし、寄付を貰ったからと言って自らの政策が変更されることも無いだろうとは思う。しかしだ、河野太郎は日本の原子力政策に孤立無援で古くから異を唱えていたと思った人物だ。孤立でも無援でもなかったとすれば、格好の良さは半減ではすむまい。

それとも相手構わず毒まんじゅうを食わせてしまう電力会社の凄さに、改めて敬意を表すべきか?

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1月9日 上記ブログの訂正
昨日このブログで河野太郎氏を取り上げましたが、これは大きな勘違いで、朝日新聞の1面トップを飾った政治家は麻生太郎氏でした。お詫びして訂正させて頂きます。

2 件のコメント:

DonKoba さんのコメント...

早速、河野太郎のホームページを見た。トップで「日本のエネルギー政策」を批判する説明を彼がやっている。しかし、注意深くその主張を聞いていると、原子力発電政策に対するアプローチが若干違うだけで、原子力発電そのものに反対をしている訳でもない。彼は原子力発電の後、使用済み核燃料を処理(フランスに委託)すると発生するプルトニウム(すでに日本は45トンも蓄積)の使用方法として「高速増殖炉」が必要だが、2050年先まで実用化できない。その代替として、ウランと混ぜてMox燃料にしてプルサーマル発電をやっているが、たまる一方のプルトニウムの消費は十分には進まない。従って「使用済み核燃料」の段階で止め、地層処理し、「高速増殖炉」が実用化できたらプルトニウムを再利用すればよいと主張している。つまり、「高速増殖炉」実用化のための実験を前提とした論理のように素人の私には聞こえる。彼の論理はこのビデオを聞く限り、むしろ東電の利益を代弁しているのではなかろうか?一見、現政策を批判しているような論調だが、政治家の特技の詭弁であり、同じ穴のムジナに過ぎないのでは?東電の毒まんじゅうには初めから毒等入ってはいなかったのでは?朝日の記者の目はどうなっているんだ。

senkawa爺 さんのコメント...

DonKoba さん
コメントをありがとうございます。
実はこの私めのブログが大チョンボで、毒まんじゅうを食ったのは河野太郎氏でなくて麻生太郎氏でした。ブログを削除しようと思ったのですが、折角コメントを頂きましたので、訂正に留めます。

河野氏は「もんじゅ」の計画全てを即やめろと言っていると思いましたが、実験を容認しているのですか?

何れにしても関係者にはお詫びします。