2011年3月9日水曜日

ご近所の光景

寒さは続いているが、日が長くなったし辛夷のの蕾も大分ふっくらしてきた。春がすぐそこに来ている感じがする。先月の初め頃から、近くの何十年も駐車場だった土地に3階建ての高級マンション工事が始まり、大きな白い壁に華やかな完成図が描かれている。昨年暮れにそこに隣接するお屋敷が取り壊され、併せて更地なった。駐車場であった土地も所有していた誰かが亡くなり、遺族が処分したらしい。

駐車場跡地には大型のクレーンが3台も入って地下を掘り下げ、土台になる大きなな鉄筋の柱が何本も埋め込まれているのが伺える。大きな塀で囲まれているのだが、四隅がちゃんと透明になっているのである。最近の工事現場は実によく出来たものだ。屋敷の方も同時に2階建ての大きな建築工事が始まったが、こちらはバタバタと仕上がってきている。

結構な広さなのに、鉄骨で骨組みをしてべニアを張り付けたような安普請なので、何事かと思っていた。今朝工事内容をゆっくり読むと、隣のマンションのモデルルームと事務所である事が分かった。成程進捗に差が出るのは当たり前だ。他にもう一か所、今年に入ってから近くで大きな屋敷が取り壊されて、17区画に分割され売り出されている場所もある。販売開始から未だ1ヵ月足程だが半分以上は売れているみたいだ。

思えば40年ちょっと前に越して来た時は、周りに畑が点々と残り、池袋から歩けば遠いし、えらい不便な田舎に来てしまったと少し後悔の念もあった。
当時は勿論サラリーマンで、毎日都心の赤坂まで通っていたのだ。池袋に通じる道は狭くて、バス一応あったが本数が少なく、通勤には生意気に池袋までタクシーを利用する事が多かった。

しかし結婚すると、家内は近くの商店街で一通りの生活用品は揃うので、亭主のような不便さは感じなかったらしい。この地に今や畑は1枚もなく、若干の隙間は全て駐車場になっている。道路は拡幅され、バスもすれ違いが可能になり、商店街も全く無くなってしまった。地下鉄も通って、池袋に出るのに不便を感じる事も無くなった。

景気が悪いと言いながらも、公共工事で近辺で道路の拡幅新設や共同溝工事がどんどん進んでいる。古い道は未だ上空に無数の電線が交差して見苦しいが、工事が進む新しい道は上空もスッキリだし、周辺の家並も美しく変わっていく。しかしなんとなく無機質で暖かみは感じられない。麦畑のそばに八百屋も魚屋もあった時代を懐かしみながら、最近はバスも地下鉄も使わず池袋まで専ら歩いている。皮肉なものだ。

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