2010年10月13日水曜日

チリ落盤 地下700メートルからの脱出

深さ約700mの地底に閉じ込められたチリの鉱山落盤事故での遭難から今日は69日目。全世界注視の中で進められた救出作業が最終段階に入り、日本時間で今朝の8時頃、最初の一人が地上に引き上げられた。大勢の人間が一つの目的に向かって一致協力、難関を突破して目的が達成された瞬間の喜び優るものはあるまい。ライブ映像をちらりと見たが、現地の大きな歓喜が伝わってきて胸を打つ。

この救出作業は国家事業で行われたのだろうか。チリがどんな国かは全く知らないが、費用も馬鹿にならないだろう。全て税金とするより、放送権料を売れば少しは足しになるのではないか、なんて馬鹿な事を考えたりしてしまう。全員の脱出までには丸2日程を要するらしいが、作業は順調に進んでいるようだ。それにしても33人もの人間が、深度700メートルの地底で2カ月以上もよく頑張ったものだ。

8月5日遭難して、8月22日に全員の生存が確認された事が奇跡のように思われたが、その時には救出はクリスマス頃と報道された。これが52日目の今日救出開始なのだから大幅な短縮である。救出作業チームスタッフにはさぞ数々のドラマがあるに違いない。海でも山でも遭難救助は困難を極めると思うが、我が国では不眠不休の捜査はあまり聞かない。大抵の場合、日没になれば一旦引き揚げ又翌日からである。

現地の作業がどのように行われたか承知はしないが、多分不眠不休の24時間体制で事に当たったように思う。特に生存を確認する迄の17日間、この体制やモチベーションを維持するには費用以外の何か、流行の言葉で言えば強いリーダーシップがあったに違いない。

それと遭難者達のマインドと行動規範も大したものだ。報道によれば、この33人は年齢的にもかなりの幅がありながら、かなり上手に組織的に統制されていたようでもある。当然ここにも強いリーダーが存在したに違いない、この事は社会学、心理学研究の対処として良いくらい驚異的な事かもしれない。地上との連絡がついてから、地底から送られてくる情報はかなり楽観的なものが多かったが、これは実体とはかなり違うようだ。「地獄のような毎日で気が狂いそうだ」と本音を洩れ聞いた事もあった。

それはそうだろう、陽の目を全く拝まない暗い洞窟に、よく知らない男同志が肩を寄せ合って3日も一緒にいたらどうなるか。仲の良い友達同士でも喧嘩沙汰が確実に起きる。因みに小生が団体旅行を避けるのは、嫌な経験があるからだ。まして、現地の実態は知らないが、鉱夫と言えば荒くれ者との相場だし、絶望でどんな自暴自棄になる事やら。彼等を率いたリーダーは50歳代の大学を出た鉱山技師と聞くが、本当に俄かには信じ難いぐらいに、偉業を果たした。

一定の時が経てば、様々情報が流出して実態が徐々に明らかになるだろう。アポロ13号の生還以来最大のドラマかもしれない。何はともあれ、関係者には心から祝意と敬意を捧げたい。

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