特捜検察 正義vs巨悪 「狡兎死して走狗煮らる」

厚生省村木局長の文書偽造指示事件に9月10日無罪判決が出た。これを聞いた時は特捜検察にも失敗する事がるのだなぁ、ぐらいにしか思わなかったが、昨日前田主任検事が、証拠物件のフロッピーディスクを改竄したとして逮捕される事件に発展してしまった。昨日朝一見して、朝日新聞のスクープから始まる三権分立と司法制度の根幹を揺るがす大事件かと一瞬びっくりした。

ところが昨日と今日、インターネットで元々検察の暴走に懸念を表明していた識者(郷原信郎氏、上杉隆氏、勝谷誠彦氏等々)の見解をチェックすると、朝日のスクープ自体が検察記者クラブ内におけるリークと言うより全くの出来レースであるようだ。勿論最高検の緊急会見なんかも周到に準備されたもので、緊急でも何でもないようである。要するに今月10日に無罪判決が出そうだと言う事は検察はとっくに分かっていた訳で、これを如何に一事件の捜査ミスに帰すべく、検察庁は組織を上げて周到な準備を進めたらしい。

一旦着手した事件についてシナリオに沿って犯罪を作り上げていくのは、特捜検察組織の体質であり、既に罪が確定している佐藤優氏に言わせると、これは一種のビジネス、換言すれば法曹界全体をカバーする「検察ビジネス」である。と実に興味深い発言をしている。特捜検察が常に「正義漢」と神話を作り上げる事によって、ここの出身者は弁護士になっても実力ある者として評価され、退職後も旧組織との仲介役を果たしながら生涯甘い汁を吸える実態がある。従って組織全体としては世間に「巨悪」が出現し、それをやっつける役割を演出しなければならないことが宿命づけられている。としている。

となると、一方で定期的に巨悪を世間に出現させなくてはならないが、これを演出するためにマスメディアが重要な役目を担っている訳である。巨悪の嚆矢、筆頭は何と言っても田中角栄元総理らしい。この時の東京地検特捜部検事の堀田力氏も昨日テレビ取材に答えて尤もらしい(あってはならない)事を答えている。

しかし考えてみるに、この事件は田中氏が最高裁判決が出る前に死んでしまったので途中で打ち切られたので、恰も元総理が「巨悪」と断罪されたような印象になってしまっている。しかし識者によれば、これもおかしな話で、何故田中氏のみなのか、本当の「巨悪」であったのかどうかは永遠の闇に葬られてしまった。間違い無いのは世の中に「巨悪」を印象付ける事で「検察ビジネス」が華々しくスタートした事らしい。

古い事はさておいても、最近マスコミによって悪の帝王に祭り上げられたのは何と言っても小沢一郎元民主党幹事長を置いて他はあるまい。勝谷氏に言わせると、今回の前田事件が何故昨日弾けたかが明快である。即ち、「正義漢」リーグとしては何としても小沢一郎だけは総理にするわけに行かなかった。14日の民主党代表選挙前にこの事件が勃発すると、悪玉が検察になり、小沢のイメージが引っくり返って彼が代表になりかねない。検察としてはこれだけは何としても回避しなければならず、村木裁判の判決理由を知りながら民主党代表選をやり過ごした。

かくして目的通り小沢氏の敗北を見届けた上で、自らの終戦処理に入ったと言う事らしい。即ち大阪地検特捜部が手掛けた一事件の捜査ミスで、「悪いのは前田主任検事」の筋書きだ。そこでいつものように、当番せいかどうかは知らぬが、昨日朝日新聞にリーク情報を発表させた次第。一時は大騒ぎになるだろうが、本質的なものは何も変わらない。あくまで検察は捜査権も保持する「正義漢」であり続けるし、そうでなくてはならない。テレビ出演する元検事達もその点は利害が一致していると見え、最高検が迅速に捜査に入った事を了として、第3者委員会のような組織での調査は不可能と断じている。

【狡兎死して走狗煮らる】前田主任検事は可哀そうだが「兎狩りが終わって、自分の肉も煮られて食われてしまった猟犬」のようなものだろう。小生は三権分立の意味も、司法の権限だの難しい事は分からない。だがこれを機会に司法や検察のありように関する問題を政治の場で真剣に議論しても良いのではなかろうか。この事件が政治問題にならないとすれば、どこまでも懲りない官僚の強かさとマスコミの情けなさに又うんざりするだけだ。

9月11日北海道十勝で行われたシンポジュームのライブ映像が分かりやすくこの事を暗示しています。少し長いですが時間の許す方はご覧になってください。
http://iwakamiyasumi.com/
*フォーラム神保町 in 十勝 2010年9月11日

コメント

このブログの人気の投稿

慶応義塾入学式 期待が膨らむ

読後感「新天皇と日本人」小山泰生著

何もかも関係ない話だ