2010年9月24日金曜日

売られた喧嘩 買うばかりが能ではない

山では「季節が夏から一気に冬に」とよく言われるが、江戸も一昨日迄の暑さが嘘のように、昨日から急に秋を通り越して今日は初冬に突入したような涼しさだ。今年はどこでも野菜、果物の出来も良くないらしい。事実秋らしい旨い果物にも巡り合わないし、野菜も高いばかりで感激するほど美味い野菜にお目に掛からない。神様が何に怒っているのか分からないが、今年は気候ばかりでなく何か異常な事が多いようだ。諏訪大社の建て御柱で支え綱が切れて死亡事故が起きたり、昨日は千葉県いすみ町のお祭りで神輿が集合した小学校校庭に雷が落ちて、大勢の人が怪我をしている。

国家レベルで言えば、領土問題で中国に因縁をつけられた事も大きな災厄だろう。先程ニュース速報で、身柄を拘束していた問題の船長を釈放と流れた。首相と外務大臣が宗主国アメリカを訪問中でもあるから、当然しかるべきアドバイスがあったのだろう。国務長官が「尖閣諸島は日米安保の対象範囲」みたいリップサービスをしたうえで、「あなた、中国相手に本当に喧嘩が出来るつもりなの?」と言われれば、実質的に中国の言いなりにならざるを得ないのが日本の実態、実力と言う事が良く分かったのではないだろうか。
こうして一歩引けば引いたで、政府は国内の保守勢力や野党から厳しい批判を受ける事になるだろう。

しかし小生のように暢気な父さんからすれば、体当たりしてきた漁船の船長が中国の諜報機関から派遣されていようといまいと、彼を血祭りに上げて首を刎ねたところで何のありがたみも感じない。むしろ厄介者だからさっさと返してよかったとさえ思う。むしろ不思議に思うのは「日本固有の領土だから、国内法に基づいて粛々と法手続きを進めたい」とする政府・又は外務官僚の考えだ。後先を考えずこんなこと言って喜ぶのは石原都知事やコラムニストの勝谷誠彦みたい人たちだけだろう。

この手の方々はやれ軍艦を出せの、抗議船が来たら打ち沈めてしまえと勇ましい事を言うが、最終的に勝てると思っているのだろうか?前原外務大臣様も「こちらには一部始終を確認できるビデオがあるが、裁判の証拠品だから公開できない」として最後まで公開される事がなかった。

元々尖閣の領土問題はややこしいので、日中2国間では鄧小平の知恵で100年棚上げとにしている筈だ。そこに今回は、大国中国が些かもろもろ弱り目の日本を見越してちょっかいを仕掛けてきたに違いない。それをオーストラリア政府がバックアップしている反捕鯨団体同様の手段で対処できると考える事に甘さがある。孫子の兵法の例えにもある通り「勝てない相手とは戦わない事が戦における必須の要件」の筈。

大国の挑発に乗って戦う事を避け、相手の無法を国際世論に訴える事が最善と何故考えなかったのか?そういった思考を予め持っていれば、船を拿捕して乗組員を全員逮捕した時、シーシェパードの船が調査捕鯨船に体当たりしてきた時の映像の映像がすぐ公開されたように、今回も巡視艇に体当たりしてくる映像をすぐさま全世界に公表すべきだったろう。先ず船員だけを釈放したのもご粗末。15人返しても一人残れば一緒じゃないか。それだったら纏めて引っ括ったままにしておいた方が良かったかもしれない。

喧嘩は得意ではないにしても、避けようもなく喧嘩を売られる事があるのは世の常だ。せめて相手の実力と出方を評価出来るスキルは磨いてもらいたいものだ。そんなことより総理大臣のにやけた顔を見ていると、精進潔斎してどこでお祓いでもして貰えと言いたくなる。

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