2010年7月13日火曜日

メディアの嫌らしさ

就活てなんだ?

最近は今まで聞いた事のない言葉がテレビから飛び出してきても、いちいちびっくりしていられない。「就活」もその一つで放送局のアナウサーでも評論家でもごく当たり前に使っている。「就活予備校」なんてものまで出来ているようだ。学業を終えたと思う人間が、就職先を求めて会社訪問をしたり企業の就職試験や面接を受けるのは、日本では昔から当然の事で不思議はない。ところが、最近の報道によると再来年3月卒業予定の大学生諸君の「就活」が既に始まっているらしい。

となると、大学3年生の夏休み前に既に就職活動が始まる事になる。これは少しおかしくないだろうか?大学4年生の夏休みに田舎に帰った時、友人の殆どが就職先が決まっていたのに、一人就職先が無くて淋しい思いをした事を思い出すと、早く決めるに越したことが無い事も少しは理解できる。確かに大学で学んだ事が就職先の仕事と関係が無い場合も多い事も事実だ。しかし大学に入った以上、専門課程の学科に関して何一つ履修出来ないうちから就職の心配をしても始まらないだろう。

バブル期の学生青田刈り全盛の時期を経て、就職氷河期が始まり、一時はITバブル期に理系を学生が主だったようだが需給バランスを持ち直したものの、直ぐに氷河期に戻ってしまったようだ。一般論で言えばそうかもしれないが、全ての企業が毎年の新卒採用を止めている訳ではない。そんな事は学生の大部分は先刻承知だろうが。優秀な人は就職できるが、そうでない人はアブれてしまう。我々の頃は非常に少なかった就職浪人の割合が、年々増え続けるのが現実だろう。

それに悪乗りした奴が「就活予備校」なんてものをおっぱじめる。本業の学業をさておいて就職面接のためのテクニックかどうか知らぬが、指導を受けてどうするのだ。広い社会で通用する普遍的な面接の術なんかある筈もない。どうせ学生の減少で収益の下がった学習塾経営者辺りが思いついた詐欺的な商法の一環だろう。メディアがマジで取り上げるから青年達が「面接術」があるかと本気にしてしまう。嫌な世の中だ。

選挙関連報道

ついでに最近の政治、特に今度の選挙結果を通して思う事だ。単語としての「テレポリティックス」 が米国で出現したのは遥か昔の事で、直ぐに日本に輸入され政治家がテレビを利用して大衆動員を図る意味で使われてきた。しかし民主党政権になって以来のテレビや新聞による政治報道は、この意味とは意味合いが異なり、逆にメディアが政治家を動かすようになりつつあり、それが少し常軌を逸している。

昨日の夜9時のNHKニュースに仙石官房長官が出演して、菅総理の発言のぶれについて話していた。曰く「最近は毎週のように新しい世論調査が発表され、気にしないでおこうにもそういう訳にはいかない。テレビの政治報道のスピードについていけない、というか煽られてつい発言の修正みたい事になっている。」と言った趣旨だったと思う。確かにそういう面はあるだろう。

聞いていて問題だなと思ったのは次の事だ。政党や政治家がメディアを操作するのは意識的にする事だから仕方が無い。むしろ現在のようにメディアが結果的に大衆を操作している事を、メディア人がどこまで自覚しているかと言う事である。恐らくは自覚はあるまい。常に自分は公正な立場に立ち、事実と公平な取り扱いでの意見を流しているとしか思っていない筈だ。故に却って始末が悪いのだ。

今回の選挙も最低の投票率で、票数的には2番手の民主党を遥かに下回る自民党が獲得議席数のトップになった。これは厳粛な事実だから仕方が無いとしても、「民主敗北・自民大勝利」と一斉に特筆大書する嫌らしさ。この事に嫌悪を覚える小生が異常なのだろうか?選挙が終わると、数合わせの政局論ばかりが溢れ、各党が口を揃えて叫んでいた「国会改革・議員定数削減」に関してのコミットは見事にメディアから消える。これを政治家はどのように見ているのだろうか?

<自らの愚かさに気がつかないメディア>に左右される我々の行く末を考えると怖いものがある。

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