2010年2月4日木曜日

技術立国日本

日本は先の大戦で敗れたとはいえ、高いモノづくり技術を持つ人材が残り、尚その後も同様の人材を育成してきたからこそ、これまでの経済発展を遂げる事が可能だったのだろう。私は文科系の道を歩まざるを得なかったが、私が社会に出た頃は、成績の良かった友人の多くが技術屋さんになったような気がする。文系の私でさえ社会に出る時には何かものを作る会社に就職したいと思ったものだ。残念ながらこちらの夢も叶わなかった。訳が分からないまま広告代理店に就職してしまったが、今の感覚で言えばインチキくさいサラ金企業に身を預けたような感じだった。製造業の次は百貨店とか船会社、商社あたりまでは就職先として許せる範囲だったけど何れも手が届かなかった。

従って技術立国については語る資格は全くないわけだが、先月売りの文芸春秋で「日本企業はなぜサムスンに負け続けるのか」(元サムスン電子常務・東大モノづくり経営研究センター特別研究員芳川良三)なる記事を読んだ。要は製造業で世界に冠たる地位を占めていた我が国が既に韓国や中国にキャッチアップされ、更にbrics諸国にも抜かれてしまうよ、という警告と著者が考えるところの問題点が書き連ねてあった。門外漢の私としては「成程そんなものか」と軽く読み過ごしていた。その後マイコンのディザイナーしている婿から、「完成品としては一見後進国にキャッチアップされているようにも見えますが、マイコンなど心臓部は殆ど日本製なんです。我が社もこのところ輸出が旺盛でフル稼働です。」なんて話も聞いたので少し安心もしていた。個人的には「世界に冠たる」と言う言葉も好きでもないし、婿さんの会社が潰れると少し困るが日本全体が他国に抜かれてもどうという事はないだろうと気楽に考えていた。

しかしここに来てトヨタのアメリカに於けるリコール問題が発生した。これも車を持たない私としては余り関心はなく、ひょっとしたらトヨタが儲け過ぎたのでアメリカの国策陰謀に引っ掛けられたのでは、と内心下種の勘繰りをしたりしていた。しかしここに来てpriusのブレーキ問題が国内で出てきた。これは正に婿さんが自慢していた電子制御ディバイスの問題ではないか。是非彼の意見も聞いてみたいものだ。たまにはこの日記も読んでくれているようだから、今度会ったら解説をよろしく頼むよ。更に先日は新幹線のパンタグラフを設置するボルト4本そっくり嵌めないまま走らせるという事件が起きている。相撲界のスキャンダルや政治と金の問題の陰に隠れて大した騒ぎにはなっていないようである。

私はこれまでこの日記で、老人はさっさと引っこんで若い人に仕事を任せるべき、と盛んに言ってきた。しかし考えが少し変わってきている。確かに頭で考えたり喋ったりする事に関してはフレッシュな脳みその方が古いものより有効と言えるかもしれないが、何もかも若い人に任せれば良いというものではないのかもしれない。特にJR東海のパンタグラフの時に家内が言った次の言葉が気になる。「最近は企業の合理化で年寄りがどんどん首を切られているようだけど、この事で従来職人から職人へ継承されてきた技術がうまく継承されていないという事があるみたいよ。」どんな職種にも仕事の形について革新はあるだろう。しかし先輩が受け継いできた良き伝統の中には基本的にどうしても忘れてはいけない事があるのではなかろうか。これを消すことなく後世に残す事を若い人に望みたい。

モノづくりについても口を出す資格は全く無いのを承知で書いている。

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