2010年1月25日月曜日

「正義」とは何ぞや?

先週金曜日の夜、家内が芝居見物のため一人で留守番。退屈しのぎの徒然に「BSフジLIVE PRIME NEWS 」という2時間近い番組をじっくり見た。テーマが『どうなる?政治とカネ“小沢一郎 VS 検察”最終戦争の舞台裏』でゲストは元検事が2人高井康行と郷原信郎、元警察庁の佐々淳行、元共同通信社の司法ジャーナリストの魚住昭、政治学者の山口二郎にフジの報道から2人での討論番組である。
内容は下記でご確認頂けるので興味のある方は是非ご覧ください。http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d100122_0

私的な感想を言えば、検察応援団に自民党応援団の佐々淳行を持ってきたのは如何にもミスキャストだった。私は三宅久之、岩見隆夫、塩川正十郎が今でもテレビに出演して、何かにつけ訳知り顔で新政権をくさすのを見て、世の中変わったのだから新しい動きを是認できないような老人共を出演させること自体間違っていると思っている。善意に解釈すれば、テレビ局は世論に迎合していると思われたくないので敢えて少数党応援団に出演依頼しているのかとも思う。

しかし性懲りもなく同じようなメッセージを流し続けることについてはどうなんだろう。事の是非をテレビ局幹部もよく考えてほしいものだ。今回の佐々淳行も同じような趣旨での出演だろうから仕方がないとしよう。しかし彼の発言は兎に角何を言っても二言目には「小沢、鳩山は倫理に反する政治家だから辞任すべき。」一点張りで、各テーマの検証結果を全てここに結び付けている。牽強付会を絵にかいたような発言内容だ。其の度に元検事二人は苦笑いをしながら軽くいなしている。

小沢は私の好きな政治家はではあるが、彼が田中派の利権の牙城と言われた旧建設省と旧郵政省のうち建設省をがっちり引き継ぎ、その利権を掌中にしてきた事は衆知の事。従って今回もこの旧悪を暴こうとする検察と小沢の戦いにどう決着がつくかは分からない。当然小沢が負ける事もあるだろう。負けない場合でも、既に多くの人が指摘するように、参議院選挙前には幹事長辞任もありうるかもしれない。洋の東西を問わず政治に金が掛かる事もこれまた衆知の事。だから今日は小沢問題とは離れて、この番組での感想を書きたい。

誰の発言かは忘れたが「検察は正義を追求するとおっしゃるが、悪の権化の小沢一人を槍玉に挙げれば一罰百戒で正義を果たしたことになるのでしょうか?」があった。要するに操作力(人員)を持たない特捜検察はそんなに多くの事案を手掛ける訳にいかないのはある程度は理解できる。しかし小沢に目を付けた以上は起訴まで持ち込まなきゃメンツが立たないと思っているのでは?といった文脈だったように記憶する。小沢問題の件はどうでもいいとするが、この問いかけに対する元検事の高井氏の発言が、3日経った今日にいたるまで腑に落ちない。

今思い出した。質問は小沢支持派のだれかが「国破れて正義あり。という事になりませんか?」だった。これに対して高井氏曰く「国が破れても正義が通ればせれでいい。(昔ある検察庁高官が発した有名な言葉のようだ)」と検察官は思っているのです。横にいた郷原氏は同意はしなかったかもしれない。全ての検察官が同様に考えている訳でもあるまいが、さて「正義」とはそんなに普遍的なものだろうか?

そんな事はあるまい。「正義」程インチキくさいと言っては差障りがあるかもしれないが、私事で言えば若い頃の喧嘩沙汰は大抵これのぶつかり合い。宗教にせよ国家にせよ戦争も殆ど同じ理屈。これほど個々人にとって千差万別で都合のよい概念はあるまい。国は人間で形成される概念だから良い悪いは別にして分かりやすい。日本国は官僚が支えている訳でもないし、一応国民が合意形成したうえで民主的に運営されている事になっている。

今の体制は破れない方がいいのだろうが、誰かの正義さえ通ればいいといったものでもない。正義なんて事は久しく考えてもみなかっただけに非常に難しい問題にぶち当たった気がしたものだ。

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