2009年12月21日月曜日

雪山賛歌と登山届

暖冬と言われていた日本に寒波が来た。年寄りに寒さはいけないと決まったものだが、喜んでいる人も大勢いるに違いない。私もそうだがスキーをする人たちはホッとしている事だろう。明日は冬至、毎朝通い慣れている道で、毎日少しずつ北側によって陽ざしを求めて歩くようにしていたが、今朝は遂に道全体が日陰になってしまっていた。太陽が南の方に一番低く沈んでしまったのがよく分かる。明日はゆず湯に身を沈めゆっくり暖まる事になるだろう。毎度のことながら欧米の寒波は日本の比ではない様子だ。

冬将軍のもたらす悲劇に山での遭難がある。先週も富士山で2名が亡くなる事故が発生している。何でも8合目付近でテントを張って寝ている時にテントごと吹き飛ばされたらしい。事故にあった人たちは勿論大変なベテラン登山家であったに違いない。テレビでは素人のコメンテーターが後付けでいろいろな批判めいた事を言っていたが、高齢ハイカーとしては心からお悔やみを申し上げたい。

昔から死亡事故を起こすような人は大抵大ベテランでエキスパートと決まっている。今回はリーダーがたまたま助かってているのが、死亡された人も一人は報道でも大ベテラン、もう一人の若い人も経験5年と報じられているが実際は相当のエキスパートだろう。並の人間が真冬に富士山で天泊する筈がない。マスコミは「原因を究明して2度とこんな事故が起きないように」と決まり文句を流しているが、冬の山では事故は必ず起きるし起きない事が不思議だと知るべきで、もう少しましなコメントはできないものか。

今回の事故の批判に無届登山がある。しかし冬の富士登山届けはどこに出せばいいのだろう?届を出してそれを真剣に受け止めてくれる組織がどこかにあるのだろうか。下手に出せば「冬期登山は禁止されています」で、今度は違法登山の烙印を押されかねないのでは?登山者の身になってアドバイスする役所は日本にはない。私もアルプスに登るときは登山口に置いてあるポストに登山計画書を入れている。しかしこれとても実際に遭難した時、救助後に自宅に連絡するのに活用する程度が精一杯だろう。

友人知人に聞いたりした話だが、ニュージーランドの国立公園内のハイキングや登山は公園の管理者が事前の希望を確認して、毎日の入山者を完全に制限しているのだそうだ。装備品のチェックまであると言う話も聞いた。従って行って来た人は口を揃えて素晴らしかったと言っている。確かに日本の国立公園に限らず里山でも異常なほどの混雑(殆ど私みたいな爺と婆)を思うと『さもありなん』だ。しかしこんな事に税金を投入したらたちまち事業仕分けだろうな。

昔は雪山賛歌を歌い、山に憧れたものだ。”荒れて狂うは 吹雪か雪崩れ 俺たちゃ そんなもの 恐れはせぬぞ”確かにこんな気分の時もあったろう。しかしいつの間にかすっかり山とは無縁になっていた。それが半世紀の間を置いて又ぼつぼつと山に行きはじめている今日この頃、7月の北海道大雪山系トムラウシでの事故と言い、今回の事故と言い他人事ではない。若い日にはこんな歌もよく歌ったものだ。”娘さん よく聴けよ 山男にゃ惚れるなよ 山で吹かれりゃよ~ 若後家さんだよ”

爺になったら家族への迷惑度と救助費用を考えなくてはいけないな。

0 件のコメント: