2009年11月6日金曜日

理想と現実の狭間

民主党が政権の座についてもう50日が経った。国会も始まり総理の所信表明に続いて予算委員会のテレビ中継も始まった。見ていると面白くて結構いい暇つぶしになる。今日の参議院は余り見ていないが少し時間が出来たので川口順子の質問だけ見る事が出来た。相当な女傑とは聞いていたが、成程凄い。インド洋から補給艦撤退に関して「民生支援は昔からしているしているが代替案にはなりえない、燃料補給は民生支援とは別のテロとの戦いの後方支援なんです。総理は分かっていないのでは?」と舌鋒鋭く迫る。

聞いている此方はびっくりしてしまった。こうはっきりと何の衒いもなく、元来自衛隊が軍事にコミットしているのだから代替案も軍事支援でなくてはならぬ、と聞かされるとは。昨日イラク戦争の傭兵に関する本を読んで、テロとの戦いの空しさを痛感していた矢先だ。どうすればこの小母さんは日本が戦争の後方支援をする必要ありと考えるのだろう?彼女は大義があり、法律との辻褄があっていれば人殺しも仕方がないと考えているらしい。流石世界を股に掛ける超エリートは凡人と考えが違う。法律を知らない凡人の一人としては戦争からは出来るだけフェードアウトさせて頂きたいものだ。その結果世界から笑い物になってもいいではないか。

衆議院の予算委員会でも自民党のお歴々が閣僚に向かっていろいろな質問をする。もちろん野党だから、政府の痛い所ばかり突くのは仕方ないのだろうが、マニフェストとの不整合や総理の政治資金問題など自分たちの事は全て棚に上げ、上から目線の演説が多い。野党慣れしていないと言えばそれまでだが、何れ吐いた唾が我が身に降りかかる事も忘れているかのようだ。

片や民主党内閣の答弁、各閣僚とも相当に緊張して一生懸命務めているのは明らか。特に感じるのは代表が小沢一郎だったらこうはいかなかっただろう。代表を替っておいてよかったと思う。鳩山氏の識見能力については小沢氏より劣るかもしれないが、語り口は比較にならぬ程好感をもたれる筈だ。問題は政権与党として理想と現実の狭間でこれからどのように振る舞うのだろう。

必須の条件は役人との協力関係だが、この2カ月足らずでこれはどの程度構築出来たのだろう。多分多勢に無勢、面従腹背が相当にあって苦労しているのではなかろうか。結果的には日本郵政や人事院人事に象徴されるように、早くも役人の高笑いが聞こえてくるような気がしないでもない。あのマッカーサーGHQですら手玉に取られた日本の官僚組織だ。野党が突っつく瑣末な人事は別にしても、公約通り官僚主導の政治からの脱却は本当に出来るのだろうか?

内閣ひいては民主党に後藤田正晴さんのように、正真正銘官僚ににらみのききそうな人が居ない事が気になる。政策の大部分の成否は菅、仙石、藤井この3大臣の息が合うかどうかがポイントになるような気もするが、藤井さん大丈夫かなぁ?ばっちり後輩に取り込まれているという噂もあるし、何れにせよ結果は来年の7月参議院選挙で明らかになる。

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