時代小説の作家としては一番好きな人である。かねてから食道楽と言う事はと言う事は聞き及んでいた。この本を読んで、他にも大の映画好きと言うか、映画通でもあり、新国劇の演出まで手掛けているので芝居全般に通じている事が分かる。平成の初めに比較的若くして(67歳)亡くなっているが、この日記は晩年5,6年の抜粋のようだ。
日付が無いので正確には分からない。 大正12年生まれの人としては職業柄もあったのだろう、随分モダンと言うかしゃれたお爺さんだったろう。銀座に出かけて映画を見て食べたり飲んだり買い物をしたりするのを日課のようにしていたようだ。羨ましいような日記とも言える。
しかし戦前を知る人の常かも知らぬが、昭和末期の日本に生きてその行く末を案じている気持ちがところどころに顔を出している。60歳そこそこで一所懸命に生きている感じはあるのだが、少し年寄りくささを感じるのは年代のギャップかもしれない。 時代小説の主人公は大概の場合死に向き合って生きているから格好いいのだが、作者自身も同じような気持ちで生きていたことが伺えて興味深い。
0 件のコメント:
コメントを投稿