2009年8月31日月曜日

夏の終わり、秩父一人旅 金峰山


土日の天気が辛うじて持ちそうだったので夏山最後の登山に行って来た。秩父の「金峰山」である。
無理をしない登山を心がけようと思っていたので、いろいろ検討の結果一番楽そうなコース信濃川上からタクシーで廻り目平登山口へ行き、そこから登る事にした。土曜日の朝、幸い晴天。山に出かけるには少し遅い新宿発8:00の特急あずさで小渕沢経由小海線の信濃川上に向かう。信濃川上で降りた登山者らしき者は一人。タクシーの相乗りを期待したが誰もいない。ドライバーも大抵の人は1時間前の電車で来ますね、笑っていた。

登山口の金峰山荘で届けを出したり、飲料を補給したりして11:30頃から歩き始める。最初は千曲川の支流に沿って林道小1時間ほど歩く。ここで一休みをして持参の昼飯を川岸近くの開けたところで食っていると、次から次へと登山者が降ってくる。のんびりした奴が居るものだと言う顔で、挨拶やら簡単な会話を交わす。皆日帰りののようだ、こちらは金峰小屋泊だと言うと納得してくれる。登山は早朝に歩き始めるのが本当だろうが、今回はスロー登山と決めたのだから仕方がない。

12時40分昼飯が済んでいよいよ山登りが始まる。前回日焼けで苦労したので、婆さんが持たせてくれた日焼け止めクリームを腕にたっぷり擦り込む。未だ陽射しは強いが予報は午後から崩れるようなこと言っていたので、何とか持ってくれることを祈りながら坂道を1歩1歩踏みしめる。小1時間で「後半分です」という標識に到達。どうやら降られずに済みそうだ一安心。



ところがどっこい、4,50分歩いた時に陽が陰ったなと思う間もなくポツンと雨が降ってきた。山道なので気持は焦るが駆け出す訳にもいかず、あと少しだから何とかなるだろうと決め込んで歩き続ける。ところがところが、あっという間に雨脚が強くなる。仕方がないからザックカバーだけ取り出してザックに被せる。少し行くと二人連れの登山者が合羽を着始めている。とても付き合っていられないと思って止まらずに進むと、降り始めから5分も経っていないと思うのだがバケツをひっくり返したようなどしゃ降りになった。どうせTシャツ1枚とズボンだけだ、「ずぶ濡れ結構」と根性を決めて2時40分少し前に金峰小屋に転がり込む。雨がひどいので小屋全体を写せず、取りあえず看板だけ。




薄暗くて誰もいないかと思ったが、土間の奥にある炬燵におじさんが1人新聞を読んでいる。濡れたものは土間の天井に張り巡らせて紐にかけてくれとの事。チェックインは後回しにしてザックを開いて着ているもの全てを着替えてしまう。その後チェックインを済ませ、やっと落ち着いてお茶をご馳走になっていると途中で合羽を取りだしていた二人が入って来た。と同時に2階からお客が二人降りてきた。2階に居た客は奈良から来て昨晩登山口の金峰山荘に泊り、昼前に山頂に行って素晴らしい景観たっぷり堪能してきたとの事。ずぶ濡れで来た客は今朝横浜から瑞牆山荘経由で来たとの事。

未だ3時過ぎ、5人それぞれにビールやウィスキー等を飲みながら暇にまかせての山談義。自分も飲もうかとも思ったが容器を持ち帰りと聞いてやめて、持参のドリンクだけにした。更に1時間以上経ってからまた二人連れの客がずぶ濡れで入って来た。かなり若いお兄さんで瑞牆山荘で先のおじさん二人連れと一緒だったらしい。聞くとこの悪天候下で山頂まで行ってきたとの事。山頂から目の前の5丈岩さえ見えなかったとの事。 この二人を含め7人の客のうち自分を含め5人は明朝の登頂を期する事にする。

予約の客7人が揃い5時半に夕食になる。写真を見て下さい。ごはんの上にローストチキンに焼きなすが被さっています、一皿料理ですがなかなかしゃれています。小食のため山小屋の食事を残さず食べる事の方が少ないのですが、綺麗に平らげる事が出来ました。グラスに入っているのは飲み放題の白ワインです。お椀の中も洋風スープで結構な味でした。明朝登頂の5人機嫌が良くなって明日はきっと晴れるなんて言っています。しかし小屋を叩きつけるような雨風は益々強くなってきました。


8時頃寝付いて12時頃一度起きるが外はまるで台風のようだ。3時半頃再び起きると外は静まり返っている。しめた、と早速支度を始めると部屋のはるか向こうで(60人分の寝床に7人しかいないので)やはり支度を始めた人が居る。昨日私の次に入って来たおじさん二人組、4時、まだ霧がかなり濃いが3人で行けば怖くないと山頂を目指す。30分足らずで山頂、まだ真っ暗ではあるがしかし風は全く止んでいる。そんなには寒くない。5時が近くなると東の空から徐々に赤味がさしてくる。ご来光を拝めると期待するが、拝む前に明るくなってしまった。しかし山頂で徐々に明けていく遥かな峰々、眼下に広がる雲海を静かに見ていると自然の神々しさに打たれるのか、何とも言えない清々しさを感じる。正に登山の醍醐味と言えよう。



山頂で30分以上過ごしたが朝飯が5時半なので5丈岩を経由して小屋に戻る。



殆ど乾いてはいるが大きな岩が続くので慎重に降りる。小屋に戻って朝食、今度は茶碗とお椀だけ配られて海苔、漬物、佃煮など簡単な総菜8種類がボウルに入れられ卓の真ん中に置いてある。この小屋は天水しか無いので水が貴重、節水が最大の課題のようだ。



予定より30分遅くなったが6:30に瑞牆山荘を目指して出発、おじさん二人組は瑞牆山に登らなければと10分ほど先に出発。若い二人は食事の後山頂に行ってから下山との事なので、一人でのんびり、スローなハイキングだ。天気は快晴、周囲の山々が何と言っても素晴らしい、と言っても知っているのは富士山、山頂でも見えたが段々はっきりしてくる。その他には八ヶ岳や昨年登った瑞牆山、これは降るにつれ間近に迫ってくる。途中何度も立ち止まって風景を写真に収める。今日の降りは尾根歩きでは比較的歩きやすいと勝手に決め込んでいたが、前半3分の2は大きな岩続きで歩きにくいし危険でもある。兎に角スリップだけはしないように慎重に慎重に降る。



大日岩の下で先行の二人組に追いつく。テント場があり、これから山頂に出発する人が数に居た。こちらはここで残しておいた果物やドライフルーツなどで休憩、富士見平を経由して瑞牆山荘には予定通り9:30前には到着。10:15のバスで益富の湯に向かい昼風呂でゆっくり汗を流して、これ又予定通り5時過ぎに帰宅。夏の終わりに一人ゆっくり歩いた楽しいハイキングだったと言える。

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