2009年8月24日月曜日

「占領下日本」半藤一利・竹内修司・保坂正康・松本健一

この本がテーマとしている1945年8月から、1951年9月の講和条約調印を経て、翌年4月のその発効までの7年弱の「占領」期間。私にとっては物心がついた頃から小学生時代にかけてであるので、断片的とは言え様々記憶が残っている。勿論日本が米英を敵として戦っていた事も知っていたし、そのために父が外地に出征している事も分かっていた。特に1945年8月15日の事はかなりはっきりと記憶している。

そんな事もあり、著者(数回にわたる4人の座談をまとめているので編者か)の4人が何れも近代史について分かりやすい著書を出している人達でもあったので、期待を持って早速に読んでみた。著者の半藤氏は私の10年、竹内氏は4年、保坂氏は1年先輩、松本氏は6年後輩。何れも戦争には行っていないほぼ同世代の人達だけに、18章に亘って書かれている社会現象?に対する関心、あるいは自身が受けたインパクトについては非常に近親感がある。ただ長ずるに及んで尚、「あの時の事は一体何だったのか?」と改めて歴史を読みとくのは、さすが何れも一流の学者又は歴史研究家たる所以でもあろう。

この時期(占領下)に現代の我々の生活、社会のありようや方向性がが規定された事は、良いとか悪いとかは別に事実であろう。しかし何故そうなったかについては、たかだか半世紀前の事であるのに、この4人の学識者をもってしてももう分からなくなっている事が随分多い事に驚いてしまう。しかし今日の社会状況を考えると、日本人は歴史の検証を抜きにして、どこかには日本社会を維持存続させるための物凄い力秘めている事が分かるような気がする。

私にとっても最大の関心はなにか。敗戦、そして占領という状況下でありながら、天皇制と官僚制は殆ど無傷で温存したのは占領した側の意向なのか、はたまた被占領側のトリックだったのだろうか?誰のどんな働きで、この事が可能になったのか?今後も永遠に解き明かされる事は無いのだろう、の思いは残るが非常に面白く読める。

2 件のコメント:

kiona さんのコメント...

天皇制はさておき、官僚制を残したことがそれ以降の社会の、自分などが日本的だと感じる部分の最大の要因に思え、いっそぶっ潰してくれいていたらどうだっただろうなんて考えたりもします。

民主党はこれをどこまで変えてくれるんでしょうかね。 。

senkawa爺 さんのコメント...

KIONAさん
コメントをありがとうございます。

>民主党はこれをどこまで変えてくれるんでしょうかね。 。
言うべくして大変でしょうね。あまり期待できないかもですよ。。