2009年6月24日水曜日

板垣征四郎と石原莞爾

生来極身近な事のみにしか関心を持たずのほほんと過ごして約70年、振り返って見るに余りに近世の日本史を知らなすぎる。いつも思っているが、改めてその感を深くした。板垣征四郎と石原莞爾 、について知っていたことと言えば、指揮者の小澤征爾の父が満州でこの二人と親しかったと言うことぐらいか。

更に言うと、昔から何となく海軍が好きで、特に東郷平八郎と並んで山本五十六なんて人は尊敬すべき人物と思っていたが、逆に陸軍は何となく融通のきかない人間の集合と思いこみあまり好きになれなかった。ところがである、この本を読んで大分考えを変えなくてはいけないと思い始めた。

当然本書では陸軍の二人を主人公にしているのだから陸軍よりになっている。近世とは言え過去の事だから、著者の立脚点で読者に与える印象は変わってくるのは仕方がない。にしても帝国海軍と陸軍の戦略の相違があって、これが日本を不幸な道に誘い込んだ事がよく理解できた。

前大戦末期この二人は陸軍中枢からやや外れてはいたが、満州国の設立に深く関わった事は自ら認めるところで、板垣氏はそのために絞首刑となる。当然石原氏も同様の刑を望んだようであるが何故かそうはならなかった。ここにも東京裁判のいい加減さ浮き彫りにされている。一番興味深かった事は石原莞爾と東条英機との対立のくだりである。自分の陸軍嫌いは東条英機に大きく起因している。その意味からも、だからと言って陸軍全てを嫌ってはいけないと反省した。

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