2009年5月18日月曜日

高校同期会と高原雨中散策

一昨日の土曜日長野で高校の同期会があって出かけた。長野駅に着くと集合場所は大勢の同期生が集まっていた。何と言っても卒業以来50年、皆どこかのお爺さんですぐには誰かを判別できない。実は5,60人集まった中で、一人どうしても思い出せない少し若造りの人が居て挨拶の言葉もかけそびれていたのだが、この方が岩手と言う遠方から駆けつけてくださった恩師であったとは。教師と言う職業が若さを保たせているのだろうか。しかしいくら劣等生とは言え失礼千万誠に恥ずかしい限りだ。



先ずは物故者の法要との事で2台のバスに分乗して善光寺に向かう。入学当時440人ほどいた同期生も既に60数名が亡くなっているとの事。全国に散っていった同窓生の情報をこれだけ詳細に把握しているのは、同期会の世話役をボランティアで長年続けているU君の努力の賜で感謝と敬服の他ない。善光寺に近づくと折から7年に一度のご開帳の真っ最中で大変な混雑。どうやって本堂に入るのかしらと心配するが、そこはちゃんと善光寺の末寺というか周辺のお寺の子息がやはり同期にいて段取り良く、雑踏を避けて坊さんが脇から誘導してくれる。



参道のどよめきの気配を後ろに感じながら本堂の祭壇の正面、畳の上に同期生100人以上神妙に整列、と言ってもこちらは胡坐をかく、多分正座をしているのはほとんど居なかったのでは?やがて坊さんが登場、メインの坊さんと脇に左右5人ずつ、実に立派なものだ。最後には物故者の名前を一人一人読み上げる非常に丁寧な法要。読経の後に11人の坊さんが祭壇の前をぐるぐる回る。南無阿弥陀仏と聞こえたようなので多分浄土宗の作法なんだろう、ご開帳善光寺と書いた紙吹雪と言うかお札のようなものを各坊さんががまき散らす。たまたま最前列に座っていたので何枚か拾って後ろの人に渡す役回りをした。 自分も1枚しまいこんで土産にしたが、婆さんが昨年生まれた孫のところに持って行くとの事。
法要が終わると全員が順番にご開帳になっている前立ち本尊様を拝礼、右手の指先から出ている糸(これが本堂の前に建てられている御柱に繋がる縄の源流になっている)を間近に拝むことが出来た。



法要が終わって全員で飯縄山麓の宿に移動、夜は110数名の大宴会。学び舎を共にして以来半世紀ぶりの友も多数、一晩語り合っても尽きぬ思いだ。と言っても皆年寄りなので馬鹿飲みしたり馬鹿騒ぎはしない。思い思いに座を乱して固まりいろんな話に興じている。楽しみが尽きない。しかし翌日曜日は朝からゴルフ、登山、高原ハイキング、そば打ち体験、乗馬と盛りだくさんの行事が控えている。自分も登山に参加する予定だったので11時には割り当てらあれた部屋で寝てしまった。



日曜日早朝、昨夜からの雨はやまない。朝飯を済ませて登山支度にかかると同室の人が登山は中止との事。がっかりしたが、リーダーは長野県山岳協会の会長まで務めた山の大ベテランで、責任者としての的確な判断であったのだろう。ややがっかりしながらリーダーのもとを訪れると「面白い場所に案内します。」何かと思えば戸隠名産「根曲がり筍」を採りに行くとの事。登山予定者は昨晩までは12人との予定であったが、天気の加減で不参加者が出て結局7人で出発。登山予定だった飯縄山の裾を回って戸隠の中社に向かう。



車を停めたのは中社スキー場、リフト乗り場のすぐ近く、しきりに雨が降っているし人影はまったくない。精々1時間か1時間半ほどの行程だからとの事で、リーダー以外はリュックを車に残しビニールのショッピング袋を二袋ずつもたされて出発。スキー場を中腹まで登ると綺麗な水が流れるな用水路に出る。戸隠は何度も来ているが初めての道だ。リーダーに聞くと、毛無山に登って行くのだそうだが観光客が少なく夏などは絶好のハイキングコースとの事。朝霧の中から鳥の鳴き声が聞こえるだけで見通しは殆どきかない。


道すがらリーダーが草花について次から次へと解説してくれる。今度覚えたのは沢山咲いていた二輪草だけだが。リーダーが突然1本の木の枝を折って渡してくれた。「匂いをかいでみろ。」受け取ると成程すごくいい匂いだ。和菓子を食べる時に使う「クロモジ」の原木だそうだ。葉っぱてんぷらにすると絶品で、枝を焼酎の瓶に入れて2か月もすれば焼酎が飴色に変わり大変にうまくなるとの事。更に登りながら山菜を見つけ「これがタラの芽、これがコシアブラ」と教えてくれながら摘み方を示してくれる。



山頂まであと100m位かなといった場所でリーダーがリュックを置いた。ここが目的の「根曲がり筍」群生の穴場だそうだ、全員藪こぎをして中で探そう。との合図で皆やぶの中に潜る。ところが残念、時期がまだ少し早かったようで見つからない。10分程でリーダーから止めようと合図があり、今日はここから降りながら先ほどの山菜を摘むことにする。帰りしなその気になるとリーダーはそれぞれの群生地をたやすく見つけて「はい、ここで○○」と手際よく全員に山菜が行き渡るように誘導。お陰で全員がビニール袋いっぱいの山菜を摘むことが出来た。



それより何より今回感激したのは全く新しい山歩きの楽しみ方を教えてもらった事だ。こういった楽しみ方については何度も人から聞いたり本で読んで知ってはいたが、こうして実際に教えてもらわないと分からない。今まで山行きと言えば殆ど一人でただひたすら喘ぎながら登るだけだったような気がする。自分でも「何が面白くて?」と思ったり、家人を含め他人からは「銭を貰っても行きたくない」とか「馬鹿ねぇ」とよく言われたが、考えてみると確かに否定できない面もある。ところが今回は雨の中ではあったが、全く違った、文句なしの楽しみだった。



大勢でわいわい言いながら歩くので疲れを感じないし、周りの植物にも晴天とは異なる水分を含んだ美しさ、あるいは清らかさが濃厚だ。散策は半日で終了。宿に帰って風呂を浴びた後ゆっくりと握り飯を食す。爽快そのものだ。夕方採った山菜を土産に自宅に帰り、早速婆さんにリーダーから教わった調理法を伝えて料理を頼む。下の写真をご参照願いたい。採った山菜5種類。左から「コゴミ」「タラの芽」「コシアブラ」「エンダラ」「クロモジ」だ。もう1枚は料理の一部、左は「コゴミ」の白和えとタラの芽のてんぷら。茹でた「コゴミ」を豆腐であえた、豆腐にわずか引きごまが入っている。これが真っ先に出て来て後は全ててんぷらにして順次出してもらった。普段飲まないはずのビールを飲まない訳に行かない。





このところ2週続けてビールを注文したので婆さんが「また350ml缶を買っておかなきゃね」と言いながら500ml缶を持ってくる。案の定コップ1杯ぐらいは残してしまったようだ。山菜は残らずきれいに食べた。 これからもこんなハイキングが出来る事を願いながら。

0 件のコメント: