2009年4月27日月曜日

黒い手帳 矢野絢也著

嘗ての公明党書記長矢野氏の身辺に起った創価学会とのトラブルを自ら書き下ろしている。氏の生い立ちから始まって若くして公明党の代議士になっていった経緯、公明党代議士と創価学会との関係、学会の選挙協力の実態が生々しく書かれていてそれなりに興味深い。

何と言っても驚くのは学会という組織の凄さだ。創価学会は1930年牧口さんと戸田さんというたった2人の教育者が起こした「創価教育学会」が源らしい。目指すところは世の乱れを正して世の人全てが幸福を享受できるようにする事であった。二人とも日蓮正宗の信者ではあったようだが、信徒団体としての位置づけはそれから7年後。戦時中は軍部に睨まれて苦労したらしいが、戦後は現世利益を旗印にして組織を拡大していく。

1954年には「仏法を根底にした文化国家建設を目的に、そのために必要な政治・経済・文化・教育等、あらゆる方面での多彩な文化運動を推進する。」として学会員を積極的に地方議会に進出させるようになる。この辺りは宗教家が世直しを考えて普通に起こす行動で違和感は全く無い。1960年になると池田大作氏が会長に就任、翌1961年公明政治連盟が組織化されて基本要領が作られる。

これが約1ページにわたって引用されているが、内容が素晴らしい。曰く「1.現今の政治は保守革新を問わず派閥抗争に明け暮れ、党利党略を重んじ、日本国民の福祉を忘れ、大衆と遊離しつつあることを深く憂うるものである。2.略3.略・・・・この要領に沿って①核兵器絶対反対、②民主的平和憲法の擁護、③公明選挙、政界の浄化、④参議院の自主性確立を基本政策に掲げた」

この公明党が政治評論家として活躍していた著者の矢野氏と鋭く対立して、その活動を中止させて尚且つ矢野氏の個人的メモを取り上げたのは何故か。その辺の経緯が細かに書かれているのだが、現在法廷での係争になっている事案でもあり、このブログが関係者の目に留まらないとも限らないので感想は書かない事にする。
目から鱗見たい話が調所に有って興味深い事は保証できる。

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