2009年4月8日水曜日

国家に隷従せず 斎藤 貴男 著

2004年の刊行となっているが実際は2001年に「人間破壊列島」として出版されたものに少し本分を足して文庫本として出版されたものらしい。著者については今まで全く知らなかった人だ。元は出版社の記者で現在はフリージャーナリストとして多くの本を書いているようである。たまたま書店でぱらぱらと立ち読みして引き込まれて買ってしまった。

社会が目まぐるしく変化する現代において、ほぼ10年前に書かれたものを改めて読んだわけだが大いに考えさせられるところがある。 背景は小泉政権時代、ニューヨークの911事件や引き続いて起こったイラク戦争とその戦争への参加。住基ネットの導入、教育臨調、高速道路のETCなんて言葉がまだ目新しい時代だ。

タイトルにあるように、著者は情報化の進歩によって監視社会が高度化して個人の自由が国家に絡めとられることに大きな不安を抱いている。現在は執筆からおそらく10年近く経過しているだろうが、著者が予測しているような社会現象は殆ど実現している。しかし彼が不安を感じているような事が裏でどこまで進行しているか私には分からない。こちらはむしろ便利になったものだと暢気なくちだ。

この問題はさておき、彼が当時から声を大に訴えていたらしい「構造改革路線が格差を拡大する事・竹中氏の弱者切り捨て理論と道義に反する人格的な欠陥・米国追随で戦争する国に突入していかざるを得ない道に踏み込んでいる事・マスメディアの堕落」これらは今になって見るとまさしく指摘の通りと感心せざるを得ない。

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