2024年5月14日火曜日

現場主義

 昨日夕方NHK・BSで「アナザーストーリー<小さな巨人>」を観た。導入部をが少し見逃したので今日になってNHK+とやらで探したが見つからなかった。しかしその番組の意図したところは汲み取れている筈なので紹介したい。

主人公は緒方貞子さん。国連難民高等弁務官で活躍されていたことはぼんやり記憶にあったが、犬養毅氏のひ孫さんであることも知らなかったし、詳しい経歴や活動の具体的なことは殆ど知らなかったも同然だった。少し敷衍すると昭和2年(1927年)のお生まれだから同年配とは言えない。父上が外交官だったとのことで、戦前は外国各地で過ごされ、戦後は聖心女子大を卒業してからアメリカの大学(ジョージタウン大学とカリフォルニア大学バークレー校)に留学して政治学を学ばれ、卒業後は国際キリスト教大学などで教壇に立たれた謂わば生粋の学者だ。

しかしこれだけのキャリアなので、50歳目前で国連日本政府代表公使になっている、大平内閣か福田内閣当時だろう。第8代国連難民高等弁務官に就任した時は既に65歳くらいのようだ。この役職を約10年務めて退任されたが、その後もずっと紛争地の難民に深く関わってこられている。難民は紛争の結果から生じるので、凄惨な殺戮現場と隣り合わせ。国連の活動も国連旗を掲げていれば安全というわけではない中で、緒方さんは常に現場で実情を直接見ること大事にされたことを後輩たちが認めている。

それを取材して纏めたストーリーで非常に見ごたえがあった。同時に思ったことが、現在も世界各地で発生している紛争との関わりの持ち方。国家と国連と同一に論じることは無理かもしれぬが、一人の個人としてもなかなか真似ができない事だと思う。政治家が現場視察をよくするが、彼らは騒動が一旦収まってから現地を訪ねるのが常。緒方さんは難民の実情を把握するために、防弾チョッキを着用してまで現地入りをしている。現地の関係者や部下たちがびっくりしたことだろう。

またそれが<小さな巨人>とまで言われた緒方さんへの尊敬に繋がっていったことは間違いなさそうだ。今の若い政治家、評論家諸氏に観させたい番組だった。

2 件のコメント:

呑兵衛あな さんのコメント...

NHK+は、総合テレビとEテレの番組が対象です。
放送と同時に、また放送後の番組を7日間いつでも視聴できますが、BSは対象外です。

senkawa爺 さんのコメント...

呑兵衛あな さん
いつもご教示有難うございます。