2024年3月13日水曜日

仮初めの国

 余命も大分短くなってきたように思うが、日本のアメリカ化、謂わば半属国化は我が生命より長引きそうだ。アメリカも占領当初は日本を属国化して自国防衛に足しにしたい程度の軽い気持ちだったかもしれぬが、最近のように世界が分断されパックス・アメリカーナが崩れ始めると、軍事力の足しよりも嘗て中曽根氏が唱えた通り太平洋西岸に置かれた不沈空母としての戦略的価値が益々増大、日本がユウラシア大陸に惹きつけられることだけはなんとしても防がなくてはの意識が高まる一方に違いない。

78年前に連合軍の代表としてのマッカーサー将軍に対し、連合軍の提示条件即ち無条件降伏と続く米軍の占領に応じたのだから仕方ない。と言えば身も蓋もないが、将来のため若い人には少し考えてもらいたい。

戦争とは独立主権国家同士で行われる一種の政治行為。ここが肝心で、アメリカもその辺は心得ていて、日本と終戦後7年目の9月サンフランシスコ平和条約を結んで日本の独立と主権を認める形を取っている。しかしこれがとんでもない偽物で、言えば日本と言う国家のショーウインドウ飾られたもので、実態の占領は今に至るも継続しているのだ。余談になるが、日本は蝋細工のメニューが陳列されている国。国民でさえ正味の料理が食べられずにいる国だ。

国民が選ぶ政府も機能する立派な国民国家と思う人も多いだろうが、少なくとも小生はそうは思わない。アメリカが唯一の同盟国なんて真っ赤な嘘だ。この論の基礎になっている日米安保条約では何回か国民の反対運動があって、騒動のさなかに国民の分断があったり、死者が出たりもした。その騒動は大抵は先ず若い人から起こされたものだが、ここ数十年その傾向は見られない。むしろその運動に参加していた大人たちが年令を重ねて、アメリカ様々に様変わりして、安逸な暮らしを楽しんでいる。

当事者はそれで良いだろう。しかし国家は金持ちだけで構成されるなら問題ないがそうはいかない。貧しい労働者の存在が不可欠であるのは言うまでもない。日本も欧米と同じように移民を受け入れて下層労働者の手当をしようとしているが、国民的合意を形成できるほど社会整備は行われていない状況にある。原因は国家存立に先述の矛盾があるからだと思う。占領時代は国民の大半が貧乏だったので上流社会人が持つべき社会哲学を持たぬまま金持ちになった人、なりつつある人で構成されてる日本。楠木正成を気取るようだが、行く先がどうなることやら。

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