2023年4月20日木曜日

覇権

 先日1920年代英国植民地時代のインドを舞台にした映画「RRR」を観てパックス・ブリタニカに思いが至った。そもそもパックスの意味だが、てっきり覇者、覇権のことかとばかり思っていたが、ラテン語で平和を意味すると初めて知った。しかし映画に描かれていたインドはあまり平和そうには見えなかった。

今や世界の国家数は200を超え、人口も80億人を超えている。そして、その頂点に立って覇を唱えているのはアメリカ、所謂パックス・アメリカーナの時代でと多くの人が思っていることだろう。しかしここ数年中国の台頭がめざましく、アメリカ覇権に強力に抵抗し始めているので、アメリカ覇権の崩壊は時間の問題のようにも見える。では後継に中国がなれるかと言えば、それも難しそうだ。

中国自体が自国の一党独裁政治体制の限界、即ち他国にこれを持ち込むことの不可能性を承知してるようにも見える。多極、多様性と内政不干渉の平和主義を喧伝してるから、覇権主義自体が時代遅れになるのかも知れぬし、そうなってほしいとも思う。

我が生涯に匹敵するこのパックス・アメリカーナ時代は、アメリカが平和を築いた時代とは真逆のアメリカによる戦争と混乱の時代と理解すべきかも知れぬ。でも過ぎたことだからあれこれ言っても始まらない。問題は覇権国不在の今後世界はどうなるかだ。今度は国家でなくてGAFAMと言われる巨大企業が世界を制覇するという人も多い。因みにGAFAMとはGoogle、Facebook(現Meta Platforms)、Apple、Amazon、Microsoft、世界で圧倒的な力を持つ企業の頭文字だ。

確かにこれらの企業は、国家を超えてライフスタイル面で人類に対して大きな影響を及ぼし始めている。しかしここにはイーロン・マスク氏の企業が見当たらない。彼は元々テスラなる電気自動車の創業者として登場したように記憶するが、昨年IT企業のTwitterを買収し、最近は「TruthGPT」と呼ばれるAIチャットボットを発表し、サービスを開始している。逆に言えば、伝統的なIT企業が手を出していない宇宙開発も手掛けている。実態を十分には理解できないが、巨大企業は将来多くの人類を国籍を問わずに支配下に置くだろうが、マスク氏にもその可能性を意識してるに違いあるまい。

当然国家は多極化するだろう。どうでも良いようなものだが、願わくば巨大企業が国家間のの戦争を止めさせる方法を発明してもらいたいものだ。

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