2023年2月3日金曜日

読後感「戦国武将の手紙を読む」小和田哲男著

 特に書く気が起きるような事象が無いので些か古い本の読後感を上げる。購入したのは昨年の暮か先月だが、中公新書2010年11月初版の書物だからかなり古い。読むのもそうとう時間が掛かり、先日やっと一応読了はした。しかし本当のところ読後感を書けるほどには理解できていないのが実態。

歴史書でもなく小説でもないので一貫したテーマは無い。戦国時代の武将20人の書簡が並べられているだけ。どれをとって欧米人が書いた英語の手紙を読むより難しい。言語は時とともに変化すると言っても高々600年程度のことだ。欧米の実情は知らぬが、英国のシェクスピアは同世代の人。彼の直筆書簡を読める英国人は相当数居るだろうし、まして活字なれば一層増えるのは間違いないだろう。

幸い古文書学の権威によって現代語訳あるので、当時の国のあり方、国主間のコミュニケーション、武将の個人的感情が理解することが出来て大変興味深かった。武将は殿様であれば祐筆がいて直筆でないものも多かろうが、祐筆は文章そのものを考える訳にはいかない。文章には署名者の気持ちが素直に現れているはず。

何れも興味深いが、中でも我が故郷である長野と縁の深い上杉謙信、武田信玄両武将の書簡が数回取り上げられている。上杉謙信に正妻が存在せず、男の子はいないはずだが、養子に当てた書簡に滲み出ている親心や、毛利元就の3人の息子に宛てた書簡に同様な感情即ち親心に心を打たれた。

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