2022年12月12日月曜日

読後感「明治政治史」(下)岡義武著

 上巻が手元に無い訳ではないが、読み終わるのがいつになるか分からないし、併せて読了した時点でまともな感想が書けるかどうか自信が無いので、取り敢えず書いておきたい。このことは一昨日読んだ月刊文藝春秋新年特大号に掲載されていた保阪正康氏の寄稿「平成の天皇皇后両陛下大いに語る」影響でもある。このブログについて当初、下らない作文なので自分が死んだら自動消滅するよう策を講じたつもりでいたが、子孫の誰かが読むかもしれないと思い返して趣旨を変更した。余談はここまで。

著者は書店で本書を購入するまで知らなかった。一読の価値ありと示唆してくれたのYouTube番組の平野貞夫×佐高信×早野透【3ジジ生放談】。話題が安倍晋三氏が生前愛読していたとされた「山県有朋」の著者と聞いてからのこと。山県有朋には特に個人的興味がなかったが、明治時代の歴史に少し興味がわいて上下2巻を同時に注文したら下巻が早く届いたので、そちらから読み始めてしまった。

著者の岡氏は1902年生まれ1990年に没したれっきとした政治学者なので、文学者が書いたものと異なり、文章自体は少し硬く、その上引用文が多いので少し読みにくいと言える。

本書は明治憲法が成立する「明治23年前後の我が国を巡る国際状況」から始まり大正3年「大正の政変」で締めくくられている。その間の日本には常に天皇の存在があり、政治家が天皇を巡って権力争いを繰り返すが、現在と異なり、結構重要な場面で天皇自身が個人的に意見を挟んだ様子も伺える。しかし、それは飽くまでも個人的問題であり、国家を形作り運営してきたのは政治家であったことも理解できる。政治家の国を作る熱意や個人的野心がないまぜになって権力闘争を繰り返す様。国が落ち着き豊かになるに連れ、政治が藩閥と言われた一部の天皇側近オンリーから一般市民も加わった上、片方で軍部との問題も大きな問題に発展していく。

軍部の問題は現在と同じ、費用の問題でもある。調達方法も同じで、消費税構想まで出てくるのは全く現在を見るような気持ちだ。そんな中にあって、軍部を手なづけたと言うか牛耳った山県有朋が実に大きな権力を手にして、政治を壟断したこともよく分かった。1940年生まれなので、明治時代の歴史は殆知らないに等しかったが、日清、日露戦争も政治家の暗殺も、ずっと後を引いて繰り返されてる問題であることを認識したとも言える。

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