2022年8月10日水曜日

内閣改造

 30歳代の終わり頃から40歳代の現役時代と言えば1970年代末から1980年代、未だ政治に関心を持っていなかったが、それでも内閣改造は大きなニュースだった。古い官邸の玄関前広場には報道各社のテント村が出現したこと、指名を受けた新閣僚が報道陣を前に豊富を述べる姿、これは官僚による急な振り付けがミエミエの人もいたが、中には堂々たる見解を発表する人も居たように思う。

何よりも首相になった人物は初心が明確だったようなきがする。引き換え、今日行われる第2次だったかの岸田政権の内閣改造、そもそも首相自身の初心、即ち政治思想と政策実現意欲がはっきりしていない。なにやらアメリカ軍か政府か知らぬが走り使いに徹するばかりで、国民からすれば何をしたいのかさっぱり分からない。ましてや、今日の内閣改造の意味なんか分かる筈もないが、分かろうとも思わない。口を開いて飛び出したのが「戦後最大の難局に対処するため」ときたものだ。

演説原稿は官僚の作文をそのまま援用する癖で仕方ないかも知れぬが、それでももう少し注意すべきだろう。1957年生まれで未だ70歳にもならぬ彼が先の大戦に関することを軽々しく口にすべきではあるまい。広島や長崎の慰霊祭の演説もどこか空々しく聞こえるのも自分の言葉でないからだ。お年寄りや子どもたちの率直な感想にもっと耳を傾け勉強すべきだ。彼は子供の頃にはアメリカ在留経験もあるし、帰国後の学歴は絵に描いたような有名校コースで東大の出身。

野球少年だったらしいから、漫画や小説とは縁遠かったかもしれぬ。2世議員には多いタイプだろう。彼らに共通するのは目的に突き進む突破力、これはある意味で見上げたものだが、情報も必要があるものと無いものを峻別する傾向があるんではなかろうか。世に溢れる情報は空気のようなものだと思うが、その中から本当に必要なものだけを抽出することは難しい。そのために秘書官を何人も置いているのだろうが、置けば置くほど逆に流れ込む情報は細くなる。

学生時代や暇だった時代に読んだ本、学んだ知識はだんだん枯渇していくから、本当はもっと世の中を知る機会を増やす必要があると思うが、実際には難しいのだろう。活字を読む時間は無いだろうが、せめてテレビぐらいは少し観ることを勧めたい。昨日、大国権力者の時間感覚について書いたが、日本の権力者もかなり時間貧乏かも知れぬ。改めて振り返ると、今日馘になる大臣は在籍が1年に満たないようだ。

0 件のコメント: