2021年11月18日木曜日

指導者と子供の才能

 今朝の朝日新聞デジタルで紹介された記事は読み応えがあった。メジャーリーガーの大谷翔平選手や、菊池雄星選手らを輩出した花巻東高校野球部の佐々木洋監督のインタビュー「異才」の育て方だ。佐々木氏は特にこれと言える方法は無いだろうと謙遜してるが。逆に言えば全ての選手に通用する方法は無いと言うことで、一人一人の持って生まれた才能や環境を考えながら良い素質を伸ばしてくカスタムメイドの育て方が大事ではと述べている。

高校野球の監督を務めるくらいの人になると、殆どの人が新人として入部してきた子の肉体的才能は瞬時に分かるものらしい。しかし佐々木氏は大谷選手や菊池選手を「私が育てた」なんて恐ろしくて言えないそうだ。育てたなんてことは育てられた子が「育てられた」と言うなら分かるがとのこと。氏は育つだろうと思う子を貴重な盆栽の若木に例えた。育てることは難しいが、駄目にしてしまうことは簡単で、多くの子が犠牲になってる可能性があるとしている。

この喩えは傾聴に値する。確かに人間は千差万別、誰もが工場で規格品を作るようなわけにはいかぬだろう。それぞれの子に異なる目標を与えて納得させ、その目標に向かう道筋を指導しつつ、それぞれ違う個性のメンバーを揃えてチームを編成を考えるのだから、高校野球の監督も楽な仕事ではなさそうだ。記者の質問に「大谷選手の二刀流は当初、常識外れと言われていました。」があるが、答えももっともだと思う。

「そうですが、ロジックで考えれば別に新しいことではありません。多くの投手は小学生から高校生の時までは野手もやっています。それをわざわざ二刀流とは言いません。ー中略ー大谷は日本の野球だけではなく、米国のベースボールの『当たり前』を変えた。野球界に新しいソフトをインストールした存在なんだと思います。おそらくですが、これから米国で二刀流の選手は出てくるでしょう。ー後略ー」

氏は何も野球やスポーツに限ったことでは無い。個々人が長い人生を見据えて考えることの必要性を強調している。たまたま現在は大谷翔平氏も菊池雄星氏もメジャーで活躍してるが、それがこの先何年も続くものでないことだけははっきりしている。しかし彼等二人が高校野球部に入部してきた時からメジャーを目指していたのも事実のようだ。数十人を束ねる高校野球の監督にはもったいないくらいの人物だと思った。

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