2021年8月31日火曜日

両眼の位置

 先週土曜の恒例リモート懇談会に久しぶりで京都から参加した友人が、興味深い話題を提供してくれた。高校野球で準決勝まで勝ち進んだ京都国際高校の事だ。諸君に聞きたい「京都国際が勝ち進む度に聞かされるハングル語の校歌を聞いてどう思うかね?俺はどうもスッキリせず違和感が残る。」高校野球に全く興味が無いので知らなかったが、我が家の近くにもある朝鮮系か韓国系の高校らしい。

友人は確か学校経営をしていたから、こういった問題には敏感なのだろう。するとすぐ「俺は良いことだと思う。」と反応した友人が居た。彼は参加者の中で最も進んだ国際派、自身も海外経験が長く、3人の子供がそれぞれ異なる国に住み、配偶者全て外国人の筈。良いか悪いかではなく、現実を受け止めるべきと思うが、我が家に異人さんの孫やら曾孫が誕生するようなことは想像しにくいのも事実だ。でも冷静に考えると、友人にバイリンガルな孫を持つ人が増えている。

在京都の友人が続けた。「連日コロナ対策の報道が続く中で政治家の発言に碌なものが無いが、唯一大阪の吉村知事の発言だけは己のすべきことを明快にしているので分かりやすく、聞いていて気持ちが良い。」確かに大阪の対策が全てうまく行ったとは言い難いかもしれぬが、彼の発言は分かりやすいかもしれぬ。友人にしても政治的に維新の会を応援してる訳ではないらしい。お互いに80歳を超えてるので何を言っても許されるだろうが、たまには他人を褒めることも大切なことだと感心した。

首都圏ではどうしても永田町周辺や都庁周辺情報がマスコミの中心になってしまうので、惨憺たるものばかりだ。敢えて今日はこれを迂回して変わり種を取り上げる。先日寺田寅彦著「柿の種」を購入してきた。寺田氏の随筆は前から好きでよく読んだが、これは知らなかった。未だ読了に経っていないが、やはり非常に興味深い記述がある。例えば昭和4年11月に書かれた短文に「原子爆弾」と称する恐るべき利器によって・・・と書かれている。

寺田氏が読んだイギリスの小説「空中戦争」からの引用で、作家はハーバート・ウェルズとのこと。この作家は1866年生まれで1946年没、即ち明治維新前夜誕生の人だ。急に読んでみたくなってアマゾンで検索してみたがすぐには見つからない。ウェルズは所謂SF作家らしいので近く1冊求めてみようかと思っている。何れにして昔の人の知識欲は現代とだいぶ違うようだ。寺田氏は夏目漱石に師事したりしながら、俳句と連歌に相当のめり込みながら一方で科学を追求している。

沢山示唆的なことがあるが、両側に目玉が有る魚から見える世界はどんなか?考えてもみなかった。

3 件のコメント:

呑兵衛あな さんのコメント...

ハーバート・ジョージ・ウェルズ(Herbert George Wells)
一般的には「H.G.ウェルズ」と呼ばれる小説家の事でしょうか。
そのウェルズならば、私も好きなSF作家で、大概の作品は読んだつもりです。
しかし、「空中戦争」と和訳された小説は知りませんでした。
僭越ながら『宇宙戦争』と『空の戦争』を混ぜたタイトルでは。
「寺田寅彦」なら「H.G.ウェルズ」を読んだという出来事は有りそうですね。
失礼ながら、貴兄の文書からは、どんな内容が書かれていたのかを伺えず、探求する事は出来かねました。
「空中戦争」なるタイトルの図書があれば、私も読みたいと思います。発見されたなら教えてください。

呑兵衛あな さんのコメント...

なるほど.
寺田寅彦 柿の種
https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/1684_11274.html
(昭和四年十一月、渋柿)の項ですね。

このごろ、ウェルズの「空中戦争」を読んだら、陸地と縁の切れたナイアガラのゴートアイランドに、ただ一人生き残った男が、敵軍の飛行機の破損したのを繕って、それで島を遁げ出す、その時に、島に迷って饑えていた一匹の猫を哀れがっていっしょに連れて行く記事がある。
 その後に、また同じ著者の「放たれた世界」を読んでいると、「原子爆弾」と称する恐るべき利器によって、オランダの海をささえる堤防が破壊され、国じゅう一面が海になる、その時、幸運にも一艘の船に乗り込んで命を助かる男がいて、それがやはり居合わせた一匹の迷い猫を連れて行く、という一くだりが、ほんの些細な挿話として点ぜられている。


文中の「放たれた世界」のタイトルは以下になると思います。

The World Set Free (1914) 『解放された世界』 - 原子力兵器の出現と核戦争の到来を予見

現在は以下で市販されています。770円
「解放された世界 (岩波文庫 赤 276-6) 文庫 – 1997/8/19」
https://www.amazon.co.jp/%E8%A7%A3%E6%94%BE%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E4%B8%96%E7%95%8C-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-H-G-%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%BA/dp/4003227662

senkawa爺 さんのコメント...

呑兵衛あなさん
いつも貴重な情報と我が文の足らざるところ補って頂きありがとうございます。
私も昔はSFが嫌いではありませんでしたが、精々小松左京止まりでイギリスの作家まではとても知りませんでした。
ご紹介頂いた内容を拝見すると「1914年の時点で今日の核戦争の危険性を予見した書」と書かれています。
貴兄の博学に改めて敬意を表し、感謝します。