2021年1月5日火曜日

男の顔

 特に絵が好きだという訳でもないが、誰だってきれいなものや美しいものが好きに決まっていると思うが小生だって同じこと。問題はその感じ方が人によって異なるのだろう。小生の場合はピカソとかマチスと言ったいわゆる抽象画についてはどうも好きになれない。かと言って、余りに整いすぎて単に綺麗なだけの絵も面白くない。工芸品でも同じことで、陶磁器で言えば完璧なまでに仕上げた物よりどこかどこか不安定な感じを残す一品物を選びたい。

愛郷心もあるので、故郷の松代焼徳利で素朴な酒を味わえば美味いことだろう。木曽の漆器にしても同じことだ。昔は我が家にもあったような気がするが、食器類はまとめて処分したので鑑賞に値するような陶磁器漆器の類は一切無い。例え有ったにしても、美術品を自宅で鑑賞なんて高尚な趣味は生涯を通じて持ちえないで人生を終わるだろう。

つまらぬことから書き始めた理由は人間の顔について書いてみようと思ったからだ。人の顔は千差万別、だからまた見たい顔もあれば、二度と見たくない顔も有ったりして面白い。40歳過ぎたら自分の顔に責任を持て」と言われるように大人の顔にはその人物の人柄かなり詳しく記されているような気がする。政治家などによく見られる二世、三世議員が親や先祖に似ている場合も少なくないが、親や先祖に責任を押し付けるわけにはいかぬだろう。

顔が似ていることを幸いに、言動まで先祖にあやかろうとしても40歳過ぎた大人には無理な話で、むしろ滑稽になってしまう。小泉進次郎氏や安倍晋三氏がいい例だろう。普段行き交う人、馴染みの店の店員さん生まれや育ちを聞いたりした人もいるが、彼等の今日の顔を見て機嫌が良さそうであればこちらも嬉しくなるし、変に無愛想な顔にぶつかってしまうとこちらまで気分が悪くなる。

人の顔については家内がよく言っていた名言「顔なんか表と裏が分かれば十分、ブスは三日で慣れるが、美人は三日で飽きが来る」これは些か乱暴に過ぎる。小生が薦めるとしたら、平兼盛という昔の歌人が作ったとされる「しのぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで」を上げたい。悪人面なんてこともよく言われるが、毎朝鏡を見ながら少なくとも悪人面には見えぬな、なんて自己満足している。

女性は化粧をするので表情が分かり難いが、特に難しいのがコマーシャルタレント。男性タレントの場合は製作者も意識して個性を強調したりするが、女性の場合はそれが殆ど無いに等しいので樹木希林さんが懐かしい。散漫な文になってしまったが、最近特に印象的だった人物の笑顔は、昨年アフガニスタンで不慮の死を遂げた中村哲医師だ。これが男の顔だろう。

2 件のコメント:

呑兵衛あな さんのコメント...

奥様の名言に1票です。
更に私の場合、名前なんて物は識別さえつけば用を成すと思っています。
家族制度のあった頃であれば、姓に拘る必要性を大いに感じますが、今ではルーツを辿ったところで仕方がないでしょう。
その意味で、マイナンバーで呼ぶ未来が到来しても致し方ないと思っています。

senkawa爺 さんのコメント...

呑兵衛あなさん
いつもありがとうございます。
家内になりかわりお礼申し上げます。
それにしても近頃は読めない名前がなんと多いことでしょう。