2021年1月12日火曜日

違和感

 「三人よれば文殊の知恵」と言われるが、菅首相と加藤官房長官と西村経済再生担当大臣の三人が休日の昨日態々首相公邸(官邸ではない)に集まって相談したそうだ。関西の一府二県に関東と同じ緊急事態宣言を出すことについてとのこと。結果的には出すことに決めたそうだが、ここからがまた不思議。連休が終わってから諮問委員会に諮って専門家の意見を聴取した上で、その他の手続きを踏んで12日頃に発令の手順で合意、と報道されている。

これって相当違和感を覚えるが、こちらの理解の仕方が悪いのだろうか?政権幹部の緊急とは如何なる事態を指すのか全く分からない。火事のように予期せざる災害が発生したような時を緊急事態と言うのが普通だろう。火事が発生したから周囲の人に避難勧告をするのに、誰かと相談して時間を掛ける余裕はない。コロナ対策には緊急性を認めていないとしたら、「緊急」と枕に置くこと自体おかしいことになる。

コロナ対策は政治決断が必要事項だろうが、先ず医学的専門家の意見があって、それを十分聞いた上で政治家が判断しなければならないはず。昨日の報道は政治判断が先にある形で、この手順はどう考えても不思議でならない。しかし考えてみれば専門家の方も相当怪しい。連休明けに政権幹部が相談する相手は対策本部の諮問会議、我々庶民は何故か分科会と称する専門家の意見をしょっちゅう聞いている。どう違うのだろう?

対策本部の序に言えば、政府の対策本部の最高責任者は菅首相だが、自民党にも対策本部があって、こっちは下村博文政調会長が最高責任者とのこと。下村氏の場合肩書が百を超えるそうで、テレビには代理と称する武見敬三氏が頻繁に登場して、他の出演者から政府の無策を突っ込まれると「それは党の方でも既に十分議論をしていて、既に政府にも申し入れを行っているところ。」と答えるのがパターン化している。

雲の上かどうか知らないが、東京千代田区にある日本政府の最高意思決定機関は、余りにも複雑重層的で、最終的に誰が意思決定をしているのか分からないのが実態のようだ。これは先の大戦でA級戦犯のうち選ばれた7人が絞首刑を執行されたことがトラウマになっているのかもしれぬ。いざとなったら誰も責任を取らないように最初から仕組まれているので、政府からアナウンスされることが無責任に聞こえるのは当たり前だ。

聞こえるだけならまだしも、誰の目にも火が燃え広がりつつあることがはっきりしてきた現在、海外からの入国を全面的に止めるとか、国民の移動を厳しく制限するとかの思い切った決断は誰にも出来なくなっているようにしか見えない。昨年も一度書いたが、先の大戦で言えば原爆被害のような地獄を見なければ、政治家は決断できぬらしい。

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