子供の頃に親や先生から「少年よ大志を抱け」とか「末は博士か大臣か」なんてよく聞かされたが、「てやんでぇ、俺は関係ない。食えればいいだけ」と腹の中でせせら笑って受け流していた。今でもそうだが、どうしようもない悪ガキだったのだ。似たような悪ガキは多かったろうが、真面目に博士や大臣を目指した人も少なくなかった筈。今になって反省しても手遅れだが、数日前に昨年ノーベル賞を受賞された吉野彰博士がどこかに書いておられた記事を見て些か心配になってきた。
詳しく調べていないので具体的な数字は書けないが、現在先進国では博士号取得者が増加傾向にあるのに、日本だけはピーク時からみて半減しているとのこと。欧米先進国は勿論だが隣の韓国に比べても大分見劣りし始めているようだ。
本論に入りたい。少なくなってきているとは言え、日本にはまだ優秀な科学者が居るのは事実だろう。今年もノーベル賞を受賞するのではと予想された人が数人いたのは知っている。
しかし残念ながら昨日発表された医学生理学賞は米国立保健研究所(NIH)のハーベイ・オルター氏ら米英の3人に贈られることが決まった。業績はC型肝炎ウイルスの発見で、血液検査や新薬の開発への貢献である。以下はこのことに関して本ブログでも何回か取り上げた、生物学者福岡伸一氏が今朝の朝日新聞に寄せた記事の引用である。
以下引用:
「コロナの早期解決という幻想 福岡伸一が見るノーベル賞」
病原体の確定には「コッホの三原則」というものがあります。まず原則その1は、患者や動物からその病原体が見つかること。原則その2は、その病原体だけを取り出し、単一の実体があることを確かめること。そして原則その3は、取り出した病原体を健康な動物に接種したとき、同じ病気になり、再び病原体が検出されることです。これが実証されないと、本当に原因病原体とは言えないわけです。いま流行している新型コロナウイルスについても、コッホの三原則に基づいて考えなければなりません。
遺伝子研究の技術は大幅に進んでいますが、一つのウイルスを突き止めてその正体を明らかにし、薬が開発されるまでには、長い時間が費やされることがわかります。新型コロナウイルスに悩まされているいまの私たちも、「年末までに」とか「来年までに」という解決は幻想です。新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスのような身近なものに変わるまでにはまだまだ時間がかかる。そのことをこのC型肝炎の研究の歴史が教えてくれています。新型コロナウイルスに対する研究も、長いスパンで対峙していかなければならないことを覚悟する必要があると思います。:引用終わり
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