2020年10月24日土曜日

政治家の学識

 来週から国会が始まるが、与野党の論戦で真っ先に上がってきそうなのが例の日本学術会議会員の任命問題だ。この問題がどんな展開になるかは扠措き、日本の政治家の知的水準が諸外国と比べて特に低いのではないかと気になって仕方ない。知的水準が学歴で測れるものではないだろうし、学歴が無くても田中角栄氏のように立派な政治業績を上げた例もある。それにしてもだ、21人かの大臣の顔ぶれを見れば何故この人が大臣に任命されたか、されるまでの競争相手にはどんな人物がいたか、想像するのが難しい。

総理大臣や官房長官のように主要閣僚になると、むしろ補佐官のほうが偉そうに見えることすら多い。この内閣では副官房長官に任命された元警察官僚の杉田和博氏がその典型だ。しかし杉田氏にしても政治に関してアカデミックな知識を有しているわけではなく、経歴から個人に関する警察情報を入手しやすいところを権力者たちから重宝がられてきたにすぎない。日本には、政策を若いときから勉強し、同世代の仲間と競い合いながら出世の階段を登ってきたという感じの政治家が非常に少ないのが寂しいことだ。

愚考するに、官僚が政治の世界に挑戦することは悪いことではない。少なくとも官僚の世界は、同期の人材が互いに助け合いながらも出世を競い合うのが普通だったように聞くし、学生時代に相当勉強してきたことだけは確かだろう。政治家の二世が親の鞄持ちをしただけで政治家になろうとするより余程マシだと思う。更に言えば、政治家の必須条件とまでは言わぬが、政治家は自らの売りと言うか専門を明らかにしてもらいたい。

政治家のホームページでプロフィールを見ると皆似たように長々とした経歴と同じく数え切れないほどの肩書が書いてある。もっと専門性のある政治家が出現してほしいが、現行の選挙制度上無理な相談なんだろうか?そんなことはないように思う。人間は短い生涯に於いてそう沢山のことはなし得ない。農水官僚の出身であれば生涯かけて農水相を目指し、文科省出身であらば文科相を目指し、財務省出身者は財務相を目指すのが自然だと思うし、国民にとっても良いのではないか。

何でもできると思うのは政治家秘書の習い性。昔で言えば交通違反のもみ消しや、入学や就職の斡旋の類、こんなことをしてきた人間がオヤジの地盤をついで政治家になっているケースも多いと思う。諸外国には閣僚クラスのほとんどが学位保有者という国もある。中国もそうだし、アメリカでも嘗てベスト・アンド・ブライテストと言われたほどホワイトハウス入りした閣僚や補佐官は学者が揃っているはずだ。日本人が田舎者扱いされないためにも政治家の専門性ブラッシュアップが必要だろう。

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