2020年6月16日火曜日

データの信憑性

大分前から「中国の統計はいい加減で信用できない」と報道ではでよく言われる。30年ほど前、テレビ関係の仕事で上海のテレビ局に行き、関係者と話をした時に先方が提示してきた視聴率データを見て、この国の調査機関は日本やアメリカに比べると大分遅れていると実感した経験がある。しかしその時会談した社会科学院のいわゆる学者との会話で、彼らも調査機関の未整備は認めつつも、今後資本主義を導入していく過程で、その必要性を十分認めていたことから彼らの経済的知識の深さに驚いたことも思い出す。

その中国が今回のCOVID-19騒動の発祥地であり、相当な犠牲者を出したことはご承知の通り。つい最近は北京で感染者が出たことで、第2ピークを警戒はしているようだが、世界に先駆けて行動制限を解除した。今週は欧米でも対策が功を奏しつつあり、これまでの厳しい行動制限が徐々に解禁される方向に向かいつつある。日本もこれを真似るつもりのようで、政府は今月1日に県をまたぐ移動を認めて自粛制限解除に踏み切った。

ついでに言えば、東京都も先週木曜日11日に最初も終わりも意味不明の「東京アラート」なる言葉を引っ込めている。そして皮肉にも翌日の金曜日から連日発表している感染者数上向き始めてしまった。これを受けて政府や都ではなんと言ったかである。専門家に発言させているが、「今までは感染の可能性が高い人を対象に検査していたが、検査に余裕ができたので検査範囲を広げた結果だから心配ありません。」ときた。

これまで国内外から何回となく指摘されてきたが、<日本が発表する感染者数は、検査体制が不十分なので信用に値しない>ことを御用学者がはっきり認めてしまったことになる。中国の感染者数は現在8万3千人(快復者数7万8千人)で世界の19位。死者数は4600人。因みに日本は統計に入っていないが感染者が1万5千人だから51位のナイジェリアと52位のカザフスタンとほぼ同じ。しかしこの2ヵ国と比べると、日本の死者数が圧倒的に多い。感染者が2倍近い34位のアルゼンチンや35位のウクライナより多いくらいだ。

8万3千人の感染者を出している中国にしても死亡者は4千6百人。中国の人口は日本の10倍強と思えばいいだろう。50日間くらい感染者ゼロできたその中国の北京の市場で、先週末に70人とか100人と言われるクラスターが発生。同時に中国政府は直ぐに警察と軍を出動して北京封鎖に踏み切っている。

昨日の日本の新規感染者は74人、中国的感覚で言えば日本全国に戒厳令が出てもおかしくない。日本は呑気でいいなと思うのもいいだろう。しかし、このままではいつまで経っても世界各国から日本に対する渡航制限は解除されないだろう。要するに我が国が公表するデータへの信頼度が低すぎるのだ。

引用した数字は下記から。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/

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