2020年3月26日木曜日

実務経験者

ドイツのメルケル首相は新型コロナウィルスの脅威を最初に国民に訴えた時に、専門家の見解から「最大国民の6~7割が罹患する恐れあり」とした。現在専任医師に陽性反応がでてしまったことから、首相自身が在宅勤務を強いられているのは皮肉でもあるが、ドイツはヨーロッパ南のラテン系諸国に比べれば、患者の激増ぶりは似ていても、致死率は比較的低く抑えているようだ。現場の専門家体制が他国に比べるとしっかりしているのかもしれぬ。

専門家とひと括りにしても、色々ありそうだ。医学系の大学を出て医学博士になっても現場経験がないまま医系の官僚勤務で出世する人も居るだろうし正反対にずっと現場一筋で一生終える人もいる。これは日本の専門家会議全てに共通することで、司法の場でも郷原信郎氏が指摘していたが、現在検察官の定年延長問題で国会で話題になっている東京高検検事長なんかも、ずっと法務官僚畑を歩き、検事としての現場経験は1年もなかったことを指摘している。

或いは教師の現場経験のない人が教育関係の専門家として重きをなしていたり、数え上げれば政府が頼りとする専門家が、意外に実務経験不足であることに気づく。勿論政府をサポートする専門家は、後に法律と関わるので相当幅広い知識が求められるのは言うまでもない。従って、政府委員会が専門家の選考に関して知識が豊富な人材と現場経験豊かな人材を比較して、どちらを選ぶかはは難しい問題でもある。

個人的には後者の見解を尊重したいが、政治的にはどうしても前者を優先時に採用したくなる気持ちも分かる。これも郷原氏が言っていたが、知識が豊富な人は人当たりも柔らかで、政治家にも巧みに接近できるらしい。

関連していつも思っている極端な例が軍人、即ち日本の自衛官。若い頃は未だ旧軍部の生き残りが沢山いたので、そういう人からの話が子供心に刷り込まれているのだろう。自衛官はOBも含め実戦経験者が皆無だと思う。昔親しかった旧軍関係者がいつも笑いながら話していたことを思い出す。「〇〇氏は偉そうに話しているが、敵から銃口を向けられたことも敵に銃口を向けたことは一度も無いのが問題だ。」そんな事があるので、自衛隊運用に関しては実戦経験を持つ伊勢崎賢治氏の話を信じたくなってしまう。

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