2019年10月5日土曜日

官僚から聞いていること

大臣に限らず政務三役ともなるとテレビ出演の機会が増える。昨夜もBS-TBS「報道1930」に防衛副大臣の山本ともひろ氏が出演していた。放送局側が如何なる存念で出演を依頼したか分かりかねるが、彼のコメントを聞いているうちに、これまで似たような立場の政府関係者のコメントを聞く度に感じていた違和感の根拠がやっと分かった気がした。

山本氏は発足したばかりの防衛副大臣だが、二度めの防衛副大臣でもあり自民党内では国防部会長や安全保障調査会事務局長など防衛問題に関しては既にベテランに属する1人だろう。年齢は44歳、関西学院から京都大学の大学院法学研究科を経てアメリカ留学の経験もして松下政経塾を出ているのでキャリアとしては立派なもの。見るからに賢そうで好感を持てるような顔つきの好青年である。

番組のテーマが東アジアの安全保障問題だったと思うが、北朝鮮のミサイル発射や、中国国慶節の軍事パレードや香港の市民デモと多岐にわたったが、司会者からコメントを求められると、「北朝鮮問題に関しては強く非難はするが、日本はアメリカの同盟国であるので米朝首脳会談が行われることを期待する。」とか「中国の軍事力強化は注目してはいるが、我が国も負けないような強化策を図りつつある。」とか誰に聞いてもそう答えるであろうことしか返事は返ってこない。

彼に限ったことではないが、政府関係者の場合は聞かれたことに関して「報道以上のことは知っているけど、対応策などについては立場上コメントを控えさせてもらう。」或いは「対策等はあらゆる段階で十分に講じている。しかし具体的にはお話できない。」が常套句。要するに俺のところにはあらゆる情報が遅滞なく上げられて、対策は迅速に行われている。具体的に言うことが出来ないだけとの意味。1次情報が届かない視聴者は知らぬが仏ということか。

ならば放送局も政府関係者なんかをゲストに呼ぶ意味が無かろう。昨夜の番組でも外務省OB元中国特命全権大使の宮本雄二氏の方が、余程明快に中国やメリカの今後の見通しとあるべき日本の対応を語っていた。現役の副大臣がそこまで言えないにしろ、政治家は己が知っている(官僚から聞いている)ことより知らない(官僚に教えられていない)ことについて、予測の難しさを語ることが出来なくてはならぬと思うが、それを語る現役の政治家にはお目にかかったことがない。

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